「給与ファクタリング業者」に対する集団訴訟(弁護士 鴨田 譲)

「給与ファクタリング業者」とは,いわゆるブラックリストに登録されているなどの事情で消費者金融などから融資を受けることが困難になっている方をターゲットに,「ブラックでも即日融資に代わる資金調達が可能」,「給料債権の買い取りサービスを提供しているファクタリング会社」であることなどをインターネット上で宣伝し,貸金ではない「給料ファクタリング」であるとの説明のもと,利用者に約定金額から手数料を差し引いた金額を交付し,支払日に,交付金額に利益を上乗せした約定金額の支払いを受けて利益を得るという取引を繰り返している業者です。

例えば,1月25日に,利用者の10万円の給与を業者が8万円で割り引いて買い取るという形式で利用者に8万円を交付し,翌月の2月25日の給料日に,利用者が会社から給与の支払いを受けた中から,10万円を業者に引き渡す(支払う)というものです(この場合,年利285%になります。)。

しかし,これは,貸金業でないことを仮装し,貸金業法及び出資法等の法規制を免れて高金利を得るための脱法行為・暴利行為であり,その実質は,金銭消費貸借契約,つまり貸金となんら変わりはありません。このような給与ファクタリングによる被害は,急速に全国に広がっています。

そのため,5月13日,「七福神」という名称で給与ファクタリング業を行っている業者を被告として,9名の利用者(被害者)が原告となり,これまで支払った金銭について,元本を含めて全額を不当利得として請求する集団訴訟を東京地方裁判所に提起しました。
これまでに給与ファクタリング被害に遭われた方を救済し,今後の被害拡大を防ぐために尽力していきたいと思います。

弁護士 鴨田 譲

 

(事務所ニュース・2020夏号掲載)

 

image_printこのページを印刷
シェアをお願いいたします。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次