言葉の壁

先日、関東弁護士連合会主催の「外国人相談担当者による懇談会」に参加してきました。

この懇談会には、自治体等で外国人の生活相談、法律相談を担当している職員、弁護士などが参加し、前半で新しい外国人労働者の受入れ制度や国が整備を進めている多文化共生総合相談ワンストップセンターについての講義を行い、後半はグループに分かれて各地の外国人相談の実情について情報共有、意見交換をしました。

この会に初めて参加したのですが、自治体で働く人々が日々外国人に対してどのように対応しているか、対応するときにどのようなことで苦労しているのか、その実情を知ることができて、実に興味深かったです。
どの自治体も悩んでいたのは、通訳人の確保の問題でした。
生活相談や法律相談をするのに、適切な能力を持った通訳人は不可欠なのですが、「通訳人が確保できない」、「通訳人がいてもちゃんと通訳できていない」といったことが理由で適切なアドバイスを受けることができずに困っている外国人がたくさんいるようでした。
適切な能力を持った通訳人を確保できないのは、「そもそもそのような能力をもった人がいない」という理由もあるようですが、財政的に有償で通訳をお願いすることができないため通訳人が確保できない自治体もあるようでした。

国は外国人の相談に対応できるように整備するための補助金の制度を作りましたが、自治体によっては、その補助金がいつなくなるのか、なくなった場合に、その分の資金を自治体の予算から出すことができるのか、という不安があり、制度を拡充することに慎重になっているところもあるようでした。

何か困難を抱えたときには、自治体や弁護士に相談することによって、その困難が解決することはたくさんあります。
今の日本においては、言葉の問題でその相談すらできない外国人がたくさんいます。
外国人の受け入れの拡大を決めたのは、国なのですから、お金だけ出して対応を自治体任せにするのではなく、国が責任をもって、共生のための体制を作るべきだと思いました。

弁護士 鈴木 満

 

 

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