労働局のあっせん手続(弁護士 佐渡島 啓)

弁護士 佐渡島 啓

 昨年10月から、埼玉労働局でのあっせん手続の委員を務めています。

 このあっせん手続は、労働紛争(解雇や残業代、労働条件の変更、職場内のいじめなど)を対象に、迅速かつ簡便に解決を目指すもので、手続費用がかからないという特徴もあります。

 ただし、あっせん手続には、申請を受けた被申請人(多くは使用者側)が手続への参加を拒むことができ、また、裁判とは違ってあっせん委員が判断を下すことはないという制約があります。あくまで話し合いによる解決を図るものです。

 このような大きな制約があるにもかかわらず、昨年度、埼玉労働局で終結した二八四件のうち、六四件で和解が成立しています。労使ともに、不幸にも紛争が起きてしまっても、早期解決することに一定のメリットがあると考えていることがうかがえます。

 これまでは弁護士として、依頼者の方の主張に沿った代理人活動を通じて紛争解決を目指してきましたが、あっせん手続の場では、これとはまた違った立場から労使紛争の迅速な解決に尽力していきたいと思います。

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