約1年前に放映された「最後の講義」(NHKEテレ)で、演劇人を志望する若者(学生?)たちを前に、女優の岩下志麻さんが講演していました。
ある若者から「岩下さんのような個性を作るには?」という趣旨の質問が投げかけられました。
岩下さんは一瞬考えた後に「個性は結果的についてくるものじゃないでしょうかね」と。「大女優」「大俳優」とされる俳優さんはだいたい「個性派」と称せられることが多く、岩下志麻さんはその典型とも言えます。
ここで言う「個性」は、世の中の人々にアピールする力を持つことを指し、他の俳優さんにはない、いわば俳優としての商品価値を高めているもの。
強い個性は俳優として成功するための必須アイテムのように見えます。しかし、岩下さんは、個性を磨くために努力したことはないと。
多彩な役に取り組み、台本を100回は読み、役になりきって終わったときには虚脱感。その結果が「個性」に繋がっているのではないか、そんなことをおっしゃっていたと思います。いたく染み入りました。
質問した若者はどう感じたでしょうね。私が若い頃に聞いていたらとても勇気づけられたでしょうね。
私は今年で弁護士満40年。40という数字には特に感慨も「区切り感」もありませんが、来し方をふと振り返ることが多くなってきました。
私たちの仕事は、自分自身の存在をアピールすることに価値があるわけではありませんが、良い仕事をしている先輩たちには、仕事のうえでの個性が必ず備わっているように見えます。
個性があるから良い仕事が生まれるわけではなく、気合いをいれて仕事をしているから良い仕事が生まれ、その結果個性が作られる。
さて、自分はどうなのか・・・。個性は生まれたのか。まだ人生の答え合わせをするには早すぎますから、精進を続ける他ありません。
(事務所ニュース・2025年新年号掲載)

