1.アメリカのトランプ大統領が、日米安全保障条約について「我々は日本を守らなければならない。しかし、どんなことがあっても、日本は我々を守る必要はない」と不満を示しました。
2.これを受けて、中谷防衛相は3月7日の会見で、「政府としては、米国が核を含むあらゆる種類の能力を用いて、日米安保条約上の義務を果たすということに全幅の信頼を置いている」と強調しました。
全幅の信頼とは、広辞苑によると「あらんかぎり、信じて頼ること」です。
この「全幅の信頼」には何らの担保・裏付けがないので、主観的な一方的な思いにすぎません。
3.エマニュエル・トッド氏は、「西洋の敗北」の中で、
①米国は約束を守らない国であり、②実際にも台湾有事に介入するだけの産業基盤を有していないので、「中国に対して台湾と日本は実際に守られていないと私は確信している」と述べています。おもしろいので、おすすめです。
4.中国の極超音速ミサイル(射程は無制限で、ジグザグに動く)に対応できない、現在進行中の南西諸島のミサイル防衛網を作ることによって、日本国民の安心・安全は確保されるのでしょうか。
むしろ著しく膨張した大事な税金をドブに捨てるに等しく、万が一の中国との衝突に際し、最前線の南西諸島で暮らす住民の生命・身体に甚大な被害をもたらすおそれが高いのではないでしょうか。
私たちは、恐怖や不安におびえるのではなく、一度、日本の防衛があてにならない信頼の上に成り立っているという現実を直視し、独立した国民主権国家として、身の丈に合った安全保障とは何か考えなければならないのではないでしょうか。