昨年半ばあたりから、本も読む時間がなかったところに、
年末、大先輩から、相場英雄さんの「アンダークラス」のお薦めがありました。
取調室で、田川・樫山のコンビが被疑者を詰めていく様子は、
「ガラパゴス」よりも緊迫感があり、おもしろかったです。
解説の藻谷浩介さんの「彼女(被害者の藤井詩子さん)の心は、アンダークラスではなかった。
どんなに貧しくても、汚辱にまみれた人生を送ってきても、身を賭した最後の思い遣りを、人は持つことができるのだ」
是非、読んでみてください。
そして、エピローグの藤井詩子さんの言葉の1つ1つを噛みしめてみてください。
PS.
その後、大江健三郎さんの「ヒロシマ・ノート」の中に、
エピローグの藤井詩子さんの最後の言葉の真の意味を示す言葉を見つけました(あくまでも私の解釈)。
大江さんは、フランスの作家ルイ=フェルディナン・セリーヌの一説を挙げています。
「完全な敗北とは・・・自分をくたばらせたものを、忘れ去ることだ、
そして人間どもが、どこまで意地悪か最後まで気づかずにくたばっていくことだ。
棺桶に片足を突っ込んだときは、じたばたしてみたところで、始まらない。が、水に流すのもいけない。
何もかも逐一報告することだ。人間どもの中に見つけだした悪辣きわまる一面を、でなくちゃ死んでも死にきれるものじゃない。
それが果たせれば、一生はむだじゃなかったというわけだ」