【コラム】早期の身体拘束からの解放(弁護士古城英俊)

捜査機関に身体拘束(逮捕・勾留)された人について「悪いことをしたのだから逮捕されて当然」と思われるかもしれませんが、住むところがあって、逃亡する疑いや証拠を隠す疑いがない場合にまで身体を拘束することは許されません。

弁護士になってから多くの刑事事件を担当しましたが、不当な身体拘束に対する弁護活動に力を入れてきました。なるべく早く接見(留置されている人と面談すること)に行き、被疑事実、身体拘束が続くことによる不利益などを聴き取り、身体拘束からの解放の糸口を探します。逮捕されたばかりで勾留前であれば、「勾留するな」と検察官に意見を述べ、勾留後は、勾留決定に対する不服申立て(準抗告)をするのが弁護士の仕事です。

弁護士3年目の頃の事件のことです。軽微な事案でしたが、知人が被害者のため、勾留される可能性が高かった事件です。配点を受けた日の夕方、被疑者に接見して謝罪文を書いてもらい、すぐに被害者の連絡先を警察から聴き取り、その場で電話して示談交渉のお願いをし、その足で被害者の自宅に赴き示談を成立させることができました。示談書は、持っていた便せんに手書きで作成し、被害者に署名押印してもらいました。翌日、検察官に意見書を提出したところ、勾留請求されずに釈放となりました。数時間走り回った成果が出てほっとしました。

これからも不当な身体拘束に対してフットワーク軽く弁護活動をしていきたいと思います。

弁護士 古城英俊

(事務所ニュース・2021年夏号掲載)

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