元号(弁護士 伊藤 明生)

2019年元号が変わりました。マスコミ報道は令和礼賛ばかり。まるで新時代が来たかのようでした。何一つ政治は変わってないのに。
私は、できるだけ元号を使わないようにしてました。使わなければならない時は、西暦の後に併記してました。

そもそも元号って何なのでしょうか。もともと元号は、古代中国で「皇帝は国の民衆も時間も支配する」という考えに基づき、皇帝が年を表記する起点=元(年)を定め、それに名前を付けたのが始まりで、日本は7~8世紀にかけて、それをまねて、元号を始めたそうです。
このように元号はもともとは中国に由来するもので、君主は空間だけでなく、時間も支配するという思想に基づくものです。これは日本国憲法の国民主権の原則になじまないものでしょう。戦後、元号制度は、旧皇室典範、「登極令」が日本国憲法の下で廃止され、法的根拠がなくりました。しかし,1979年元号法が成立しました。この元号法の審議の際、政府は、「一般国民にまで(元号)の使用を強制することにはならない」との「政府統一見解」を発表しました。

しかし、現在、官公庁などは、元号使用のない文書を受理しないのです。このように,元号は国民主権の原則になじまないものです。令和を使用したいという方もいらっしゃるでしょうが、私はこれからも、これをできるだけ使わないようにします。

弁護士 伊藤 明生

 

(事務所ニュース・2019年夏号掲載)

 

image_printこのページを印刷
シェアをお願いいたします。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次