今週の埼玉総合総合ニュース

人を追い込む「行政」

仕事柄、人を追い込むことを生業(なりわい)とする人たちを相手にすることが少なくありません。
サラ金、ヤミ金、追い出し屋、暴力団……
自殺へと追い込まれた人もいました。

市や県の行政職員の人たちと連携して、追い込まれた人の支援や生活再建の仕事をすることもあります。
今日も、埼玉県等と連携して、多重債務相談キャンペーンの相談を担当しました。
行政のみなさんががんばってくれたおかげで、多くの方が相談に来てくれ、職員のみなさんに感謝しています。

写真は、今日、相談に来られた方に、見せていただいたものです。
サラ金やヤミ金が債務者に送りつける取立状にそっくりです。
でも、送り主は「所沢市」です。
故郷を離れて30年。働き続け、気が付けば60代半ばで、独り身のまま。
体を壊して収入が減り、家賃や税金や保険料を滞納。
何とか今月から収入が回復したけれど、それでも生活はギリギリ。
兄弟は故郷に帰ってこいと言ってくれるけれど、滞納を解消しないと故郷に帰る気持になれない。
高齢の身で肉体労働はキツいけれど、節約して、何とか頑張って少しずつ滞納を解消していきたい。

こんな人に、予告なしに差押えなんかしたら、心が折れてしまいます。生きる意欲を打ち砕くかもしれません。
こんなふうに、赤や黄色や黒で塗られた書面を送りつけ、恐怖心や不安を搔き立てて、人を追い込むことが行政の仕事ですか。
1人ひとりの人間の実際の生活を顧みず、いのちを軽んじるようなやり方で、人を追い込むことが行政の仕事ですか。
保険料等を払えない人が続出する制度を作り、地方交付税を減らすなどして自治体の財政を追い詰め、人間を追い込む取立てをさせる、これが国の仕事ですか。

弁護士 猪 股  正

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