インボイス制度の拙速な導入に反対する声明(公正な税制を求める市民連絡会)

公正な税制を求める市民連絡会(共同代表:宇都宮健児、事務局長:猪股 正)は、2022年8月8日、「インボイス制度の拙速な導入に反対する声明」を公表しました。内容は、以下のとおりです。

インボイス制度の拙速な導入に反対する声明

2023年10月から、消費税の適正な納税のためとして、インボイス制度の導入が予定されている。
インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除(事業者が消費税の納付税額を算出する際、売上の消費税から仕入や経費の支払等のために支払った消費税を差し引くこと)にあたって適格請求書(インボイス)の保存が必要とされる仕組である。そしてこの適格請求書を発行するためには、適格請求書発行事業者の登録をしなければならないが、この登録ができるのは消費税の課税事業者に限られている。

そのため、消費税の免税事業者(前々年度の課税売上高が1000万円以下の事業者が対象)が、事実上、取引から排除されるなどの不利益を被る可能性がある。
例えば、イラストの仕事をフリーランスに発注する出版社が、仕入税額控除を受けるためには、適格請求書の保存が必要となることから、フリーランスに対し、適格請求書発行事業者になることを発注の条件とするなどの例が考えられ、すでに、このような事態が実際に生じている。条件を提示されたフリーランスとしては、仕事を得るために適格請求書発行事業者となれば、免税とならずに生活が圧迫され、かつ、納税のための重い事務負担をも負うこととなり、逆に、免税事業者であり続ける選択をすれば仕事の発注を受けられないこととなり、苦渋の選択を迫られることになる。
 その影響は、建設業の一人親方、独立系SE、フリーライター、個人タクシーの運転手、フードデリバリーの配達員、シルバー人材センターの会員等々、幅広い職業に及び、その中には低所得でやりくりをしてきた者も多い。コロナ禍の到来により、フリーランスや個人事業者が大打撃を受けるとともに、物価高騰が生活を圧迫している中で、インボイス制度の導入が、追い打ちをかけ、さらなる生活困窮へと追い詰められる者が増大する可能性がある。

 加えて、インボイス制度の仕組は複雑であり、理解が追いついていない事業者も多く、2022年5月末日現在、適格請求書発行事業者の登録は約51万件にとどまっており、コロナ禍でフリーランス人口が500万人以上も増加したことも考慮すると、制度の周知方法、周知期間も不十分である。

このまま来年10月の実施を強行することは、上記のとおり、立場の弱い零細事業者やフリーランスに過大な負担を強い生活の困窮へと追い込む可能性があるとともに、納税者の理解と納得も甚だ不十分であることから、あまりに拙速であると言わざるを得ない。
当市民連絡会は、インボイス制度の来年10月の導入に反対するとともに、政府に対し、小規模・零細事業者が不利益を被る可能性、税負担の水平的公平性の毀損、帳簿作成の事務負担などの重要課題について、さらなる検討と説明・議論の場を設けることを求めるものである。

2022年8月8日
公正な税制を求める市民連絡会
共同代表 宇都宮健児

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