憲法学者辻村みよ子先生の憲法(第5版)24頁から「日本国憲法の制定」の論述があります。ポツダム宣言受託から日本国憲法制定までの事実経過が記述されているのですが、その中で日本政府は天皇の安泰を確保するために、平和主義や人権保障を取り入れる「犠牲」を受け入れたという趣旨の説明があります。
この説明を読んで、自民党のホームページに掲載されている自民党改憲草案のQ&AのQ14がすぐに頭に浮かびました。憲法に平和主義や人権保障を書き込むことを「犠牲」と考えた当時の政府と、天賦人権説が日本の歴史、文化、伝統にそぐわないので改めるという自民党の考え方は、根っこの部分で通じるところがあります。
私たち個人個人が、自由に生き生きと人生を全うすることを保障した人権や自由を軽視する考え方には、断固、反対の意見を言い続けたいと思います。
弁護士 伊須慎一郎