労災の補償・賠償

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労災に遭った時に受けられる補償、賠償

不運にも労働災害で被災してしまった場合、誰から、どのような補償、賠償を受けることができるのでしょうか。
① まず、政府から,労災保険の給付を受けることが考えられます。
② もう1つ、事業主(使用者)に安全配慮義務の違反を指摘できる場合には、民事上の損害賠償請求を行うこともできます。

労災保険給付の請求手続

従業員が労災事故に遭った場合、しっかりした会社であれば、被災者本人に代わって事業主が労災保険の請求手続を代行してくれることが少なくないと思います。
しかし、事業主が手続をしてくれないという場合には、被災者本人(死亡事案の場合には遺族)で請求することができます。

労災保険給付の請求書の用紙は労働基準監督署に備え置かれています。請求書の記入の仕方については、厚生労働省のホームページに各種労災保険給付の請求書の記載例があり、参考になります。

よくわからないという場合には、一度弁護士にご相談ください。

事業主から請求書の証明を拒否されたら?

労災保険給付の請求書には「事業主証明書」の欄があり、災害発生の原因や状況、被災者が受領していた賃金等について事業主に証明をしてもらうことが必要になります。
ところが、事業主がこの証明に協力してくれないということがあります。

その場合には、証明を拒否されてしまった経緯を説明した上申書を添付することにより、事業主証明がなくても、申請を受けつけてもらうことができます。

事業主が労災保険の保険料を納めていなかったら?

事業主が労災保険の加入手続を怠っていたり、保険料を滞納していたという場合であっても、労働者は労災の保険給付を受けることができます。
というのは、労災保険制度は労働者を保護するための仕組みですから、労働者を一人でも雇い入れた事業所は、その日から労災保険関係が成立するとされているためです。

もちろん、この場合、事業主は遡って保険料を納めなければなりませんし、労働者に対する給付額に最高40%を乗じた額を費用徴収されることになります。
しかし、労働者に不利益は生じません。

納得の行く保険給付が受けられない場合 -不服申し立ての手続-

審査請求

労災保険の請求をした結果、労働基準監督署から保険給付をしないという「不支給決定」を受けてしまったとか、支給決定は出たけれども、考えていたよりも低い障害等級の評価になってしまった場合などには、各都道府県労働局の労災保険審査官に対し、「審査請求」という不服申し立てをすることができます。

再審査請求

労災保険審査官の決定にも不服があれば、さらに、労働保険審査会に「再審査請求」をすることができます。

行政訴訟

再審査請求について労働保険審査会がした「裁決」に対しても不服があるという場合、あるいは、労働保険審査会に再審査請求をして3ヶ月が経過しても「裁決」が出ないという場合については、今度は、裁判所に行政訴訟を提起することができます。

不服申し立ての相談

審査請求や行政訴訟の手続を本人で進めていくことももちろん可能ですが、原処分の事実の捉え方や評価についての誤りを的確に批判するという作業は簡単なことではありません。弁護士の相談を受けてみることをお勧めします。

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