「もうどうにもならない。」と思っても、借金の問題は、必ず解決策が見付かります。希望を失わず、早めに専門家に相談することが大切です。
以下では、埼玉総合法律事務所の弁護士がご相談を受けた事例を参考に、解決事例をご紹介します。
1 破産を回避。過払金を回収して解決
(Aさん・70代男性・無職)
- 相談
生活費や遊興費のために、24年前に消費者金融から借入を始めました。
その後、借入と返済を繰り返し、多い時で毎月10万円を返済していましたが、会社を定年退職したことと健康を害したために収入がなくなり、返済が出来なくなってしまいました。
現在、消費者金融4社に対し総額140万円の借金があり、収入も資産もないので、返済はできません。やはり破産するしかないでしょうか。
解決内容
Aさんの債務整理を受任し、4社に対して最初の借入から現在までの取引履歴を全て開示させました。
取引履歴に基づき利息制限法の制限利率に従い引き直し計算をしたところ、借金はすでにゼロであり、逆に多額の過払金が発生していることがわかりました。
そこで4社全てに対し、過払金返還請求訴訟を提起し、訴訟提起から約8か月で、過払金元金の他に年5%の利息を取り戻すことができ、最終的に730万円をAさんにお返しすることができました。
破産せずに済み、過払金を病気の治療代に充てることができました。
2 住宅ローンなどの返済に苦しんでいたが、過払金を回収して解決
(Bさん・50代男性・会社員)
- 相談
私は、定年まであと数年になりましたが、消費者金融6社の返済と、住宅ローンの返済があり苦しい生活を送っています。
定年まであと数年になり、定年後、家を失うのではないかと心配です。
解決内容
取引履歴を検討したところ、消費者金融6社のうち3社が過払いとなっていることが判明し、3社に対し、過払金返還請求訴訟を提起しました。
3社のうち1社は、取引履歴の一部しか開示してきませんでしたが、推定額で過払金を請求しました。
いずれの業者も、取引期間が20年以上にも及んでいたため、多額の過払金が発生しており、訴訟の結果、3社合計1700万円もの過払金を回収することになりました。
回収した過払金で、債務の残っていた消費者金融3社に合計177万円、住宅ローン会社2社に合計400万円をそれぞれ一括で返済し、住宅ローンを含む債務はゼロになり、なお多額の過払金が手元に残り、蓄えのある状態で、定年を迎えられることになりました。
3 ヤミ金融の取立を止め、自己破産。回収した過払金を自由財産として保持
(Cさん・50代男性・無職)
- 相談
サラ金からの借入が増え、ヤミ金融にも手を出してしまいました。
現在ヤミ金融は15社あり、勤務先にも電話がかかってきて、隣近所にも電話をすると脅され、どうにもならないという気持になって、先日、自殺未遂をしてしまいました。
今も、ヤミ金融からの取立が酷く、親族やその会社などへの取立の電話が止まりません。
財産は何もなく、ヤミ金融以外にも、サラ金6社と個人からの借入が多数あり、ヤミ金融を除いても、借金の額は1000万円以上になります。
解決内容
受任後、直ちに、全てのヤミ金融に連絡をし、警察など関係機関と連携し、ヤミ金融の利用口座を凍結し、警察に対し、携帯電話の利用停止措置、当該ヤミ金融の摘発を求め、全てのヤミ金融からの取立を止めました。
その後、凍結した口座から被害金の一部を回収し、サラ金の過払い4社と合わせて、300万円以上を回収した上で、ヤミ金融以外の借金を整理するため、自己破産の申立てをしました。
回収した過払金等は、破産申立予納金や債権者への配当に充てられますが、99万円を限度に、Cさんが自由財産として保持することが認められています。
4 個人再生手続で住宅を維持
(Dさん・50代男性・会社員)
- 相談
仕事上の付き合いが増えて生活費が足りなくなり、15年以上前から、消費者金融から借入を行うようになりました。
前職に就いていた頃は、ある程度の収入があったため、借入と返済を繰り返し、遅れることなく返済していましたが、大病を患ったことにより会社を退職し、収入がなくなってしまいました。
現在は別の仕事に就いていますが、収入は減ってしまったので、住宅ローンを含めた総額約2000万円の借金について、今までのように返せる見込みがありません。
破産し、家を手放し、迷惑をかけた妻とも離婚を決意して、埼玉総合法律事務所に相談しました。
解決内容
Dさんは、破産して家を失うことを覚悟されていましたが、お話をうかがうと、本当は、自宅を維持して奥さんとの生活を続けたいというお気持であることがわかりました。
家を維持するため、考えられる1つの方法は任意整理ですが、Dさんの収入や借金の総額を踏まえると、任意整理の方法では毎月の返済額が多額になってしまい返済が難しいことがわかりました。
もう1つの方法は裁判所に個人再生手続の申立をすることです。
個人再生手続では、住宅ローン以外の借金を、任意整理の場合より大幅に減額できる場合があります。
Dさんの場合、この個人再生手続を選択することにより、住宅ローン以外の借金を減額でき、住宅ローンは今までどおりに返済して、自宅を維持できる見通しがたちました。
再生手続は順調に進み、自宅を維持することができ、奥さんとの夫婦生活も守られることになりました。
なお、仮に、破産をした場合でも、直ちに妻に不利益が及ぶわけではありませんので、早急に離婚という結論を出す前に、専門家に相談してください。
5 個人再生手続で、車や生命保険を維持できた
(Eさん・30代男性・会社員)
- 相談
生活費や遊興費のために9年前に消費者金融から借り入れを始めました。
返しては借りるという生活を続けていくうちに借金はみるみる増え、7年間で元金と利息を合わせた借金の額が400万円にのぼり、月々の返済額が14万円にもなってしまいました。
私には収入がないわけではないので、可能な範囲で、借金を返したいと思うのですが、月14万円もの返済ができるほどの収入ではありません。
生命保険や車も持っているので、これらを手放さずに、借金を減らす方法はないでしょうか。
解決内容
Eさんには一定以上の収入があり、今後、月5万円程度であれば、継続して支払を続けられる状態でした。そこで、裁判所の民事再生手続を利用することにしました。
個人再生手続により、400万円の借金が280万円まで減額され、これを、月約5万円ずつ、5年間で分割返済していくことになりました。
Eさんは退職金予定額や生命保険の解約金があったので、資産に応じた金額を返済することになりましたが、退職することも、保険を解約することもなく、車も手放さずにすみました。
6 夫のDVから逃れ、法律扶助を利用して自己破産
(Fさん・50代女性・会社員)
- 相談
パートで介護ヘルパーの仕事をしています。
生活苦から借入れをしてしまい、自転車操業状態で、借りては返しを繰り返しています。実家とは疎遠で、元夫とは夫のDVで離婚したため、頼れる身内はありません。
弁護士費用の工面も難しいです。どうしたらいいでしょうか。 - (注)
国の機関である「法テラス」が弁護士費用を立て替えてくれる制度です。
法テラスが弁護士に費用を支払い、その後、利用者が法テラスに対し、その費用を分割弁済していきます。一定の資力以下であれば利用できる可能性があります。
当事務所の弁護士に相談・依頼される場合、法テラスを利用することができます。詳しくは当事務所までお問い合わせ下さい。
解決内容
Fさんは当時パートで働いていたため、給料が多くありませんでした。
法テラスの法律扶助の要件に該当したので、弁護士費用の立替制度(注)を利用して、破産申立てをしました。
Fさんは大変真面目な方で、申立てに必要な書類もすぐに準備してもらえたこと、ご本人の立ち直りたいというお気持が強かったことなどから、破産申立てから免責決定までスムーズに終了することができました。
借金のなくなったFさんは、生まれ変わったと思ってがんばろうと奮起し、勤務先から正社員として採用されました。
7 会社と代表者の破産。99万円以上の自由財産を保持
(Gさん・60代男性・会社経営)
- 相談
会社を経営していますが、会社の資金繰りのために何度も借り入れを重ね、事実上経営破綻に陥ってしまい、借金は9000万円近くまで膨らんでしまいました。
返済をしようにも自分は高齢のため就職活動はなかなかうまくいかず、年金収入だけでは借金の返済を続けることは困難です。
私には持病があり、これまで数度の入退院を繰り返してきましたが、今後もいつまた入院が必要になるかわからない状況のため、そのときに備えて、残っている預金や生命保険をなんとか確保したいのですが、可能でしょうか。
解決内容
破産して借金がゼロになっても、Gさんの収入は年金だけしかないので、破産手続後の生活を守るには、今後予想される入院費や通院費等の支出のため、ある程度の預金や生命保険を確保する必要がありました。
そこで、裁判所や、相談者の財産を調査する破産管財人に対して数度に渡って報告書や詳細な資料を提出したところ、事情を理解してもらうことができ、結果的には一般的に自由財産として保持を認められる99万円を大幅に超えて、預金と生命保険あわせて150万円程度の財産を保持することが認められました。
8 自宅マンション競売後の残債務の大幅減額
(Hさん・60代女性・無職)
- 相談
45歳の時に、1000万円のローンを組みマンションを購入し、月々の返済額は10万円程度でした。
しかし、その後、景気の悪化により会社をリストラされてしまいました。
再就職活動はしましたが、年齢もあり、次の仕事を見付ける事はできませんでした。
住宅ローンの支払いもできなくなり、購入した自宅マンションは差し押さえられ競売になってしまいました。
現在は年金で細々と生活しており、住宅ローンの返済は、まだ1000万円近く残っています。
解決内容
年金で細々と生活しているHさんは、月々支払える金額は1万円がやっとでした。
当初は自己破産に向け、打合せを進めていましたが、住宅ローンの債権者に対し、Hさんが払える範囲で和解できないか打診して交渉したところ、月々1万円の60回支払いにて和解が成立し、残債務を大幅に減額することができました。
9 消滅時効の援用による解決
(Iさん・60代男性・無職)
- 相談
長年、ホームレス状態の生活を続けていましたが、このたび、生活保護を利用して、アパートを借りることができました。
住民登録したとたん、ずいぶん以前に借りたことがある消費者金融から督促状が届きました。
利息が付いて、膨大な金額になっています。
とても支払うことができません。
どうしたらいいでしょうか。
解決内容
消費者金融から届いた督促状を確認し、Iさんに思い出していただいたところ、最後の返済の日から20年以上がたっていました。
消費者金融から借金をした場合、最後の返済の日から5年で消滅時効が完成します。
そこで、消費者金融に対して消滅時効の援用通知を出して、借金を消滅させました。
その結果、督促も一切なくなり、今、Iさんは落ち着いた暮らしを取り戻しています。
* 以上の相談と解決事例は、実際の相談を参考にしつつ、個人が特定されないよう、アレンジを加えています。