家族信託とホームロイヤー(弁護士 月岡 朗)
私たちは、いつか、認知症や体が不自由になることにより、自分の財産を管理できなくなる可能性があります。
いつか来るその時に、誰が、私たちの生活を守ってくれるのでしょうか。
このような問題の解決方法として、最近、家族信託、ホームロイヤー制度が普及してきています。
これまでは成年後見制度が高齢者の財産管理の議論の中心でしたが、
成年後見制度では、見知らぬ専門職(弁護士、社会福祉士、司法書士)が高齢者の財産管理を引き受けることがあります。
本来、弁護士等に財産管理をゆだねる前に、弁護士等と信頼関係を築いて、信頼できる弁護士等に財産管理をしてもらいたいというのが自然でしょう。
また、自分の希望や生活状況を十分に分かってくれた上で、希望に沿った財産管理の方法が望ましいと思います。
ホームロイヤーや家族信託を活用することで、弁護士と信頼関係を築いてから、信頼できる弁護士に財産管理を依頼することや、信頼できる親族に財産管理を任せることも可能です。
また、ご自身の希望や経済状況、生活状況に沿った財産管理が実現できます。
近時、ホームロイヤーや家族信託制度の活用事例は増えており、今後、より高齢者が安心でき、高齢者の希望に沿う、ホームロイヤーや家族信託が求められることになると思います。
ちゃんと走れメロス(弁護士 竹内 和正)
竹内も激怒していた。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意したわけではない。
ただ、もう絶対来年はマラソンを走らないぞと決意していた。健康のためにはじめたマラソンだ。
でも、走るたびに思う。フルマラソンは不健康だ。(「走れメロス」より準用)
激怒していたとき、僕はだいたい、35キロ地点にいました。
それまで淡々と走り続けていましたが「なんだか、疲れちゃったし、もう歩いちゃおうかな。別に、ゴールに、セリヌンティウスが待っているわけでもないし。」と思っていました。
しかし、昨年は仕事が忙しく、なかなか時間が取れないながらも練習は続けていたので、
不完全燃焼で終わらせてしまうのは嫌だなと思いました。
そこで、「せめて、目標タイムを切ってゴールしよう。そして、目標を達成できたら、笑顔でマラソンも終わりにしよう。」と考えました。
わずか2年間のマラソン人生に終止符を打つべく、そこから、僕は、道行く人を押しのけ、はねとばし、黒い風のように、犬を蹴とばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走りました(準用)。
そして、結果、ネットタイム(自分がスタートラインを越えてからゴールするまでの記録)では目標を達成し、
公式記録(号砲がなってからゴールするまでの記録)では、目標を達成できませんでした。
・・・これは、どうしたらよいでしょう。マラソンを辞めてもよいものか。
メロスがゴールしたのも、あの感じだと、公式記録ではなく、ネット記録という理解でよいでしょうか。
新年明けましておめでとうございます
新年明けましておめでとうございます。本年も当事務所をよろしくお願いします。
事務所は5日から再開しましたが、連休明けの8日からはフル活動をしております。昨年10月に92歳を迎えた宮澤洋夫弁護士も、ご自身の体をいたわりつつも元気です。
旧年中はたいへんお世話になりました。私たちの業界をめぐる情勢には非常に厳しいものがあり、当事務所も例外ではありませんが、弁護士たちが毎年熱い議論を交わしつつもお互いのやりたい道を尊重し合い(「忖度」の嵐!)、その結果、少しずつですが成長の道のりを歩んでいると思います。とりわけ若手の弁護士たちは、それぞれが自分の才覚を伸ばし、物事を切り開く立場でそれぞれの個性を活かした弁護士活動を身につけつつあります。
皆さまにおかれましても今年1年が実りの多い1年になりますようにお祈りします。
年始早々、巷では心穏やかにはいられないニュースが続きますが、当事務所は人の生活の平和を邪魔するすべてと闘う集団であり続けたいと思います。
弁護士 牧野 丘
労働局のあっせん手続(弁護士 佐渡島 啓)
昨年10月から、埼玉労働局でのあっせん手続の委員を務めています。
このあっせん手続は、労働紛争(解雇や残業代、労働条件の変更、職場内のいじめなど)を対象に、迅速かつ簡便に解決を目指すもので、手続費用がかからないという特徴もあります。
ただし、あっせん手続には、申請を受けた被申請人(多くは使用者側)が手続への参加を拒むことができ、また、裁判とは違ってあっせん委員が判断を下すことはないという制約があります。あくまで話し合いによる解決を図るものです。
このような大きな制約があるにもかかわらず、昨年度、埼玉労働局で終結した二八四件のうち、六四件で和解が成立しています。労使ともに、不幸にも紛争が起きてしまっても、早期解決することに一定のメリットがあると考えていることがうかがえます。
これまでは弁護士として、依頼者の方の主張に沿った代理人活動を通じて紛争解決を目指してきましたが、あっせん手続の場では、これとはまた違った立場から労使紛争の迅速な解決に尽力していきたいと思います。
50年前、さいたま市に原子炉があった~三菱大宮原子炉訴訟~
宮澤洋夫弁護士は、大正15年生まれ。陸軍航空士官学校を経て終戦を迎え、民主主義や平和の大切さを痛感し、最高裁判所勤務を経て、昭和41年弁護士になります。
そんな宮澤のところに、大宮市北袋町(現在のさいたま市大宮区。JRさいたま新都心駅東側)の住民の皆さんが、「三菱大宮研究所の原子炉設置をやめさせたい。」とやってきました。
三菱原子力工業は、昭和41年9月、日本最初の原子力船「むつ」動力用原子炉の研究開発目的で、大宮研究所に原子炉を設置する計画を発表しました。そもそも三菱は、昭和34年11月14日、大宮研究所には「原子炉の設置はしない」と約束していたのですが、これを覆して、国や県の許可をとり、原子炉建設に乗り出してきたのです。
宮澤は、地元住民2000人からの依頼を受けて、県の許可を争い、昭和47年9月、東京高裁で勝訴しました。また、三菱に対しては、原子炉の撤去訴訟を昭和44年7月7日に提訴し(この日は原子炉の落成式の日でもありました)、昭和49年7月まで戦い抜きました。最後は、三菱が「原子炉撤去」を表明し、地元住民の勝利和解で終了しました。
平成29年9月7日、90歳の宮澤は埼玉弁護士会で、三菱原子炉訴訟、これに続く「福島・東海原発訴訟」の経験を語り、埼玉弁護士会の多くの弁護士が宮澤の話に聞き入りました。宮澤の戦いは、今、3.11福島原発事故訴訟の弁護士らに引き継がれています。
ねこ(弁護士 伊藤 明生)
小さいころ,うちにねこがいました。でも,ほとんど記憶が無く,風呂敷にねこを包んで,かわいがっていたような覚えしかありません。家族によると,あまりに私がねこに夢中になっていたらしく,ねこを飼うことは私に良くないと,捨ててしまったらしいです。可哀想なことをしました。このことは,3年前に知りました。1昨年,4ヶ月間の入院後,退院して,久し振りに自宅に帰ってきた際,当時飼っていたねこには,随分癒やされました。そのねこは,最期まで私を癒やしてくれました。「幸せになりたければねこと暮らしなさい」という本があるのですが,そのとおりと,思わず頷きました。そんな猫たちのためのTNRというボランティア活動を紹介します。
ねこは1回の出産で平均5匹のねこを産むため,外で暮らすねこをそのままにしておくと,3年で2000匹も増えてしまいます。それでは,外で暮らすねこも,人も幸せになれません。そこで,ボランティアの人たちがTNRをしています。Trap(つかまえる),Neuter(不妊手術),Return(もといたところに戻す)という活動です。戻された猫には目印として耳にカットが入っていてさくら猫と言われています。
今うちにいるねこたちは保護された子らで,うち1匹はさくら猫でした。今,その子たちに毎日癒されて,リハビリ頑張っています。
多くの方々,そしてねこたちに励まされています。ありがとうございます。
生きる手がかり(弁護士 猪股 正)
息子が、先日、修学旅行に行き、本当に楽しかったそうだ。よかったとホッとしつつ、同じ高校に通って踏み跡を残した申し訳なさや胸の痛みを感じる。修学旅行の思い出は「歯を食いしばれ」の後のビンタと謹慎。ありがちな、未熟さゆえの行動で、迷惑をかけた同級生や先生に今は恥ずかしい思いでいっぱいである。高校時代、バスケットだけは一生懸命で、レギュラーからはずれた挫折感は大きく、修学旅行も、その時期の苦しく切なく恥ずかしい思い出の中にある。
当時、倫理社会の授業で、山本周五郎の「赤ひげ診療譚」が課題に出た。斜に構え、よく言えば何かに反抗し、押し付けられた課題などは素直に受けたくないひねくれ者だったが、この本に強く心を揺すぶられ、以来、高校、浪人時代を通じ、山本周五郎の長編小説を読みあさり、山本周五郎が自分の心の支えになった。
当時の文庫本が今も手元にあり開くとあちこちに赤線が引いてある。「貧困と無知に対するたたかいだ」「人間を愚弄し軽蔑するような政治に黙って頭を下げるほど老いぼれでもお人好しでもないんだ」「見た眼に効果のあらわれることより、徒労とみられることを重ねてゆくところに、人間の希望が実るのではないか…氷の中ででも、芽を育てる情熱があってこそ、しんじつ生きがいがあるのではないか。」「人間はいいものだが愚かでばかだ」「…人間は人間なんだ」。
自分を受け入れられず、どうして生きていけばいいのかわからず、先の見えない時代に、生きる手がかりを教えてくれた人たちに、心から感謝しています。
先輩たちの姿を見ながら(弁護士 伊須 慎一郎)
昨年6月から、いわゆる戦争法が憲法9条に違反するという国家賠償請求訴訟の代理人をしています。原告は500人を超えています。法律を作ったこと自体を憲法違反だと争う訴訟で、なかなか難しい裁判です。
その中でも20代の若い弁護士から80代の大先輩弁護士が、違憲判断を求め、時には熱く(いつも熱いかもしれません)議論を重ねています。
鈴木経夫先生(元裁判官)は、数年前の新年会で何としても憲法9条を守りたいと仰っていましたが、83歳になられても、弁護団会議に参加されています。丸子警報機事件で賃金格差を是正する画期的な判断をされた北澤貞男先生(元裁判官)は、たった1人でも原告の皆さんの訴えを丁寧に聴き取って、裁判所に伝え続けています。私の妻がロースクールでお世話になった石塚章夫先生(元裁判官)は、権力を憲法で縛るという立憲主義が蔑ろにされていることに対し、裁判で争えないかと新たな問題提起をされています。佐々木新一先生は時々体調が芳しくなさそうなのですが、私が頼りないので毎回の会議に参加され、訴訟進行の舵取りをされます。中山福二先生も体調が優れませんが、私を見るたびに、会議に参加できないことに申し分けなさそうです。
大先輩が裁判を通じて何とか憲法9条を守ろうとする姿を見て、私も微力ながら、この裁判に力を注いでいます。微力であっても諦めない取り組みこそが憲法9条を守ってきたと信じて。
危険な無策(弁護士 髙木 太郎)
トランプ大統領の来日で、日米首脳の間で北朝鮮政策に関し「すべての選択肢がテーブルの上にある」ことが再確認された。アメリカが北朝鮮の核攻撃施設を先制攻撃することもありうるのだ。
米統合参謀本部が「北朝鮮の核兵器を完全に破壊する唯一の方法は陸上侵攻」であることを認めた。地上戦しかなければ、アメリカの圧倒的戦力を投入しても制圧に数日以上かかることは明らかである。この間に、北朝鮮は断末魔の反撃で核を含むミサイルをソウル、東京に発射するだろう。迎撃ミサイルは半分以下の確率でしか北朝鮮のミサイルを撃ち落とせない。地上戦で多数の死者が出るばかりではなく数百万の市民が被害を被ることになる。これを防ぐ手立てはない。さらに、緊張関係が高まれば、偶発的な事件から戦闘が始まり同様の展開になることもありうる。
だからこそ、米軍人も含めて、交渉が大事だと繰り返しているのだが、日米首脳は聞く耳を持たない。米首脳は世論対策と武器売り込みか。強いことを言っていれば支持する人が一定数いる。危機をあおって武器を売り込めば軍需産業の支持もさらに得られる。日首脳は・・・。強さを誇示する世論対策、そして世論の支持が細ってきた今、米のポチでいることが生き残りの唯一の方法だからか。
先制攻撃、偶発事態が起こらないことを祈る。
