【コラム】職場の熱中症対策(弁護士 佐渡島啓)

今年の夏も暑い日が続いています。昨年は、職場での熱中症によって4日以上休業した労働者が全国で1200名を超えました。また、職場での熱中症で死亡した労働者の数も3年連続で30名以上になってしまいました。労働者としてはカウントされていない個人事業主やフリーランスで働いている人も含めれば、この人数はもっと増えるはずです。

熱中症は、他の業務災害と比較して死に至る割合が5~6倍にもなると言われており、決して軽視できません。そこで、今年6月、職場での熱中症対策の強化を目的として改正労働安全衛生法規則が施行されました。
熱中症による死亡事例の多くで、初期症状の放置・対応の遅れが指摘されています。そのため、今回の改正規則では、まず、熱中症の恐れがある労働者を早期発見し、社内で報告するための体制を整備することが義務づけられました。自分自身で体調の異変を自覚したときや(手足がつる・立ちくらみ・めまい・吐き気・汗がとまらない・汗が出ないなど)、周囲の人が様子のおかしさに気づいたときに(呼びかけに応じない・フラフラしているなど)、「誰に」「どのように報告するのか」を職場で明確にしておく必要があります。
また、熱中症を発症する恐れのある環境で作業をおこなうときには予め、体調の異変を感じたら作業から離脱することはもちろん、身体を冷却することなど、必要な措置の内容やその実施方法を職場で決めて、周知することも義務づけられました。冷房を備えた部屋や日陰等の涼しい休憩場所を確保したり、全身に水をかけ続けられる水道とホースの準備もあると良いでしょう。意識に異常が見られたら速やかに救急隊を要請する必要があります。
秋になってもまだまだ熱中症の危険性はあります。安心して働ける環境づくりの一環として、皆さんの職場での熱中症対策について改めて見直していただきたいと思います。

弁護士 佐渡島啓
(事務所ニュース・2025年夏号掲載)