【コラム】スポーツの指導者(弁護士 佐渡島啓)

スポーツ法に関わる活動に少しずつ取り組んでいます。スポーツ団体の指導者向けの講習会に参加してグループ討議に加わったり、スポーツ雑誌に原稿を書く機会をいただいたり。これまで埼玉弁護士会にはスポーツ法に関する受け皿がなかったため、一昨年、弁護士会の弁護士業務対策委員会の中にスポーツ法部会を立ち上げ、今はここで活動をおこなっています。

スポーツに関する法律的な問題としては、資金流用などスポーツ団体の不祥事や競技中の事故、ドーピングなど多岐にわたりますが、より身近なものとして指導者の暴力・パワハラ問題があります。過去には、部活動の顧問の暴力的な言動を苦にして部員が自殺するという痛ましい出来事がありました。ここまでいかずとも、例えば昨年も、高校の女子バスケ部の顧問が部員の首を絞めたり、髪を引っ張ったりするなどの暴力を振るったとして、日本バスケ協会から二年間の指導者ライセンス停止処分を受けたことが報道されました。

私自身は学生時代、野球・ソフトボールを続けてきたものの、指導者に恵まれ、このような被害を受けたことはありません。しかし、程度の差はあれ、スポーツの場面で指導者の暴力・パワハラ的な言動を見聞きした方は多いのではないでしょうか。
他方、指導者からすれば、厳しい指導はどこまで許されるのかといったジレンマがあります。自分は暴力的な指導を受けたことで成功したと思っている指導者もいるでしょう
しかし、それでも指導者の暴力・パワハラは許されません。プレーヤー、指導者、ほかの関係者も含め皆がスポーツを楽しめる環境を広めていくために、法律家としてできることを続けていきたいと思います。

弁護士 佐渡島 啓