【コラム】ソーシャルメディアという公共圏(弁護士 本間啓誉)

外国人に対する過激な主張は、クルド訴訟で問題となったデモ行進だけでなく、ソーシャルメディアを通じても行われています。
ソーシャルディアは、その拡散性や匿名性がもたらす悪影響が強調されがちですが、そこには良い点もあるのではないかと思います。

かつて、インターネットが普及していなかった頃、ネット掲示板の利用者は「ネット民」と揶揄され、そこでのやり取りなど、現実世界からは興味すら持たれていませんでした。しか
し、誰しもがインターネットに接続するとなると、情報収集はソーシャルメディアが中心となり、従来のマスメディアもネット上で話題となったやり取りを報道するようになりました。こうして、ネット上の議論が、さまざまな方法で拡散される結果、特定の問題を社会が認識することになり、1つの公的議論が形成されるとも考えることができ、ソーシャルメディアが一種の公共圏を作り出すとも言えるのではないでしょうか。

このような意味での公共圏を適切に管理するために、デジタル空間にも憲法の効力をもたらそうとするデジタル立憲主義という考えが、諸外国では取り入れられ始めています。憲法的な観点からの議論も当然重要ですが、公共圏にいる者として、「ネットの議論は、過激派か偏見しかない」として、議論に参加しない「サイレントマジョリティ」のような態度も、もはや許されないのかもしれません。

弁護士 本間啓誉
(事務所ニュース・2025年夏号掲載)