【コラム】本当に偽装難民?(弁護士 鈴木満)
クルド人に対するヘイトスピーチの中には、「偽装難民」という言葉がよく出てきます。確かに、日本の出入国在留管理庁(以下「入管」といいます)が「難民」と認定したクルド人はほとんどいません。しかし、入管が「難民」と認定しないと「難民」ではないのでしょうか。
入管から、難民の地位に関する条約における「難民」に該当すると判断された外国人が「難民」と認定されます。難民の地位に関する条約の「難民」の定義は、抽象的であるものの、各国の難民認定が統一的な基準で行われるような努力がされており、例えば、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は「難民認定基準ハンドブック」という手引書を作るなどしています。
しかし、諸外国に比べると、日本の難民認定率は極めて低く、例えば、2024年の難民認定率は、アメリカは57.7%であるのに対して、日本はわずか2.2%という統計があります。クルド人についてみると、このような他国との差はより顕著となり、他国では多くの人が「難民」と認定されているのに、日本では、毎年何百件も申請されているのに難民と認定されたのはわずかに1人です。しかも、この1人は、「難民」に該当しないという入管の判断を裁判で争い、勝訴した結果、「難民」と認定された人です。
他国では多くのクルド人が「難民」と認定されているのに、日本に住んでいるクルド人だけが「難民」と偽って難民申請している人ばかりなのでしょうか。
こういったクルド人の背景事情があまり知られていないこともヘイトスピーチが拡大した原因の一つではないかと思います。
日本の外国人政策やその問題点は、身近に感じられず、情報に接しづらいところもあるかと思いますが、今や外国人は日本社会において欠かせない存在といえると思います。ぜひ関心を持って幅広く情報を得て、この問題を冷静にとらえていただけたらと思います。
(事務所ニュース・2025年夏号掲載)