普通のオジサンがとんでもない外道に変貌するのは?(弁護士 高木太郎)

日本労働弁護団関東ブロックの総会で、技能実習生の問題など、長年、外国人問題に携わっている鳥井さんのお話を伺う機会があった。

技能実習生の実態は、すべてがそうではないものの、超長時間労働、最低賃金の無視、度を超えた拘束にとどまらず、事業主らによるセクハラ・パワハラ・暴力のオンパレード、これが日本とはとても信じられない酷い状況だった。

しかし、それをやっている事業主は、会ってみると、普通の中小企業の社長、人によっては地元の名士と言われる人さえ含まれているとのこと。

なぜ、普通の人がこんな酷いことをできるように変貌するのか。
それは、技能実習生が抵抗できない立場に置かれていることによるとのことであった。
母国で多額の借金をして日本にきた「実習生」は帰国させられるのが1番怖い、すると、事業主の命令に従わざるを得ない、このような関係を繰り返しているうちに、事業主には、「実習生」相手には何をやっても構わない、との意識が芽生え定着してしまう、というのである(暴力夫のDV事案にも共通することがあるなあ)。

看板の架け替えではなく、本当に制度を抜本的に変えなければならないと実感した。

弁護士 高木 太郎