反貧困ネットワーク全国集会2023【集会宣言】武器よりくらしを!排除より連帯を!

2023年4月2日、反貧困ネットワーク全国集会2023が開催されました。
集会宣言は、以下のとおりです。連帯し、入管法の改悪を阻止しましょう!

反貧困全国集会2023集会宣言「武器よりくらしを!排除より連帯を!」

政府は、「防衛費」については、「防衛力の抜本的強化」の方針を打ち出し、防衛予算をGDP比2%以上へと倍増させる方針を決定し、先日成立した2023年度予算では、防衛費は過去最大の6・8兆円、26.3%増という歴史的増額となりました。しかし、その財源については、「歳出改革」や「増税」によって調達するとの方針を示しましたが、具体的内容は、明らかにされないまま先送りとなっています。これに対し、社会保障費費については、政府は、少子・高齢化の進展などによる社会保障費の「自然増」の拡大によって財政赤字が大幅に拡大しているとし、財源がないことを理由に、これまで、年金や生活保護基準の引き下げ断行をはじめ、医療、介護、教育、子育てなど、社会保障のあらゆる分野で削減や自己負担増を進めてきました。昨年10月には75歳以上の高齢者の医療費の自己負担割合を1割から2割に引き上げられたばかりです。

本日の集会では、多様な立場から実態報告がありましたが、貧困と格差が拡大するなか、非正規労働者、シングルマザー、フリーランス・自営業者、在留資格を持たない外国人、若者、低年金・無年金の高齢者など、多くの人が生活に困窮し、住まい、教育、就労、医療など、様々な領域から排除されています。特に、仮放免という地位に置かれた外国籍の人々の状況は、極めて深刻であり、働くことも禁じられ、生活保護も健康保険も利用できないという状態に置かれ、重病を患っても治療を受けられない人も少なくありません。

このまま防衛費の拡大が進めば、今後、「歳出改革」の名のもとに社会保障がこれまで以上に削減され、同時に、増税による負担も重なることにより、貧困と格差が一層深刻化することが明らかであり、「国家」より前に「人間」が潰れていきます。防衛費をGDP比2%以上に倍増させ、新たに年間5、6兆円もの予算を防衛費に上乗せできるだけの財源を確保するなら、その5、6兆円を、武器の購入のためではなく、「人間」のくらしを支えるために使うべきです。生活保護基準引下げで削減された生活保護費は670億円、インボイス導入による消費税の見込み増収額は2480億円です。5、6兆円のお金があれば、大学までの教育費の無償化と介護サービスの無償化を同時に実現することができます。あるいは、医療費の自己負担をゼロにすることもできます。防衛費ではなく、社会の分断や対立を解消し、若者から高齢者まで幅広い層が支えられ、互いに支え合う連帯の社会の実現のために使うべきです。生まれた家の経済力によって人生が決まり、過酷な競争の中で生き抜くことを強いられ、非正規労働者が不安定な生活を強いられ、高齢になるまで生き抜いても低年金・無年金で困窮し孤立する人が続出するような支えのない自己責任社会。この社会構造を変えていくために使うべきです。

反貧困ネットワークは、2007年の発足以来、貧困が、労働や福祉の問題、国籍、性、障害、能力、年齢などを理由とする差別等、様々な問題と結び付いていることを指摘し、社会から排除された人々の生きる希望が奪われ、人間らしく生きる権利がないがしろにされている現状を変えなければならないと訴えてきました。入管法改悪や仮放免者に対する処遇は、国籍を理由とする排除であって、人間らしく生きる権利を否定する極めて非人道的なものであり絶対に容認できません。

私たちは、誰もが、人間らしく生きる権利を実現するため、個別の問題の枠や立場を越えて互いにつながり、これからも声を上げ、行動することを宣言します。「武器よりくらしを!排除より連帯を!」

2023年4月2日
反貧困全国集会2023参加者一同

(文責:弁護士 猪 股  正