【コラム】事務所ニュース 2023年新年号 巻頭挨拶(弁護士 伊須慎一郎)

軍事優先国家とセットの格差を拡大する増税

日本政府にとっては、もはや憲法9条はないに等しいようです。政府は、年末にも専守防衛の防衛政策を捨て、敵基地攻撃能力の保有を確認するようです。国を守るという大義名分が独り歩きし始めました。みなさんの中には、国、自衛隊が、国民を守ってくれて安心だとお考えになるかもしれません。歴史学者の加藤陽子先生は、戦前の軍部があれだけの力を持てたのは、国の安全と国民の生命を守ることを大義名分とした組織であったからで、最終的には、大義の名のもとに国民存亡の機に陥れる事態に至ったと指摘しています。今こそ、加藤先生の言葉を噛みしめるときだと思います。

また、政府・自民党は、防衛予算を現在の5兆4000億円規模から倍増し、2027年までに11兆円程度としたいようです。しかし、労働者の賃金は上がらず、それなのに物価は上昇して逆進性の高い消費税は減税されることなく生活困窮者が増えるばかりです。一方で、大企業は内部留保金484兆円を貯め(2008年は230兆円)、富裕層の申告漏れは平成21年以降最高額にのぼっており不公平税制が改善されようとはしません。このような中、国防予算の財源は、軍拡のための掟破りの国債発行や、逆進性の高い消費税増税が考えられます。消費税を1%上げると2.6兆円徴収できるので、消費税を2%上げると目標の11兆円に届きます。軍拡に伴う増税の議論を注視したいと思います。

弁護士 伊須 慎一郎

(事務所ニュース・2023年新年号掲載)