think small first-日弁連決議と内橋克人さんの言葉(弁護士猪股 正)

基盤産業の後退、人口流出など地方を中心に地域の衰退が進んでいます。地域衰退の現状を踏まえ、日弁連は、2021年10月、岡山で開催された人権擁護大会において、「地方自治の充実により地域を再生し、誰もが安心して暮らせる社会の実現を求める決議」を採択しました。

決議は、地域衰退の大きな要因は、大規模店の規制撤廃、平成の大合併をはじめとする市場中心主義の下における規制緩和や政府が進めてきた構造改革政策にあるとしています。このような新自由主義的政策については、岸田首相もその転換の必要性に言及したところですが、かねてから厳しい批判を続けてこられたのは先般亡くなられた経済評論家の内橋克人さんでした。内橋さんは、新自由主義が、農村と都市、人と人を分断し、対立、競争させ、食料、エネルギー、医療・介護、保育・教育といった人間の生存に必要不可欠なものまで市場原理に取り込み、強い者をより強く豊かにし、弱い者を切り捨て、人間より経済を重視するものだと徹底的に批判されてきました。

上記決議は、コロナ禍の約2年間、実行委員会による調査・研究等の準備を経て採択されたものです。私は、事務局長として、約30人の実行委員の仲間と労苦を共にし、各地の訪問調査に参加しました。「地域の中で,自分と仕事や地域社会をつなげ,自分に何ができるかを考え,『成り行きの未来』を,『意志ある未来』へと変える。」「経済成長の時代,最後尾だった町だが,人と人が助け合う関係性や人と自然が共存する知恵を活かして,持続可能な社会へのタグボート(曳き船)になる。」という海士町のメッセージなど、「人が生きる」ことを大切にする地域の実践に多くのことを学びました。

「think small first」。内橋さんの言葉です。小さいものから先に考え、小さいものを大事にする。市民の連帯・参加・協働によって地域から社会を築き直す。先人から続く小さな一歩の積み重ねが大きな転換をもたらすと思うのです。

弁護士 猪股 正

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