【コラム】人生を左右しうる資格(弁護士鈴木 満)

弁護士として携わらせていただく事件の中には、依頼者の方の人生に関わる事件が多いですが、外国人の在留資格に関する事件も、そのような事件の1つです。

在留資格とは、外国人が日本に適法に滞在するために必要な資格です。在留資格がないことで、夫婦や親子が別々の国に引き裂かれてしまい、時には、二度と日本で一緒に生活することはできなくなるなど、在留資格を得られないことは、大きな不利益を生じさせることがあります。

私が携わった事件の中には、在留資格の取得・変更が困難と思われても、在留資格を得ることができたものもありますが、達成感よりも、本当に良かった、という安堵感の方が強かったです。

在留資格には、複数の種類があり、それぞれについて取得・更新・変更するための要件が決まっています。
在留資格に関する申請は、出入国在留管理庁などの行政側に行うのですが、抽象的な要件があったりして、要件を満たすかどうかの判断には、行政側に広い裁量があります。行政側の判断を裁判で争った結果、在留資格が得られる場合もあります。

在留資格は、外国人の人生に大きな影響を与えうるものであるため、要件を具体化するなど、行政側の判断が恣意的なものにならないようにすべきです。

先日、廃案となった、出入国管理及び難民認定法、いわゆる、入管法の改正案は改悪であるとして多くの反対がありましたが、外国人の人権救済につながる意味での見直しは、行われていくべきだと思います。

弁護士 鈴木満

(事務所ニュース・2021年夏号掲載)