やはり生(ナマ)がいい(弁護士 牧野 丘)

 

新型の感染症が登場するとこういう世の中になってしまうとは予想できませんでした。「人との接触を8割減らす」から始まり、生活様式がガラッと変わってしまいました。裁判所の開廷ペースなどもまだ元に戻ったとは言えません。
多くの会議がリモートになり、裁判手続きも電話。楽と言えば楽ですが、伝わっているのかなぁ、というモゾモゾ感は一向に減りません。浦和レッズのシーズンチケットを持つ私には、埼玉スタジアムの試合を映像で観るのは闘った気がしません。映画よりも舞台が好きな私が舞台の録画を観ても満足できません。趣味のサックスに至っては、昨年3月に予定されていた2回目のブルーノート東京の舞台(ただの「発表会」です)が中止になり、レッスンもしばらく休みになっただけでなく、練習場であるカラオケボックスも休店。こんなに長い期間、演奏しなかったことは初めてです。翻って仕事。修習生の頃から大事にしてきた「現場主義」。100回の話を聞くよりも1回現場を見た方が得るものが大きいものです。ですが、なんとなくそれも控えめになりました。

しかし、嘆いてばかりではいけません。愚痴を言うだけでは落ち込みます。落ち込まないためには、新しい文化を受け容れながらも、これまで大事にしてきたことに思いを馳せ、逆にそれを成長させることかと。そんなわけで、この度新しいアルトサックスを買いました。セルマーのシリーズⅡ。コントロールが難しいのですが、音の響きに深みがあり、プロ仕様です。楽器は使うことで成長するので、私も楽器と共に成長します。こんな時期に高いお金を出して買ったことの言い訳でした。

弁護士 牧野丘

 

(事務所ニュース・2021年新年号掲載)