生活保護基準違憲訴訟(弁護士 古城 英俊)

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響を受け、仕事がなくなり収入が減ってしまった人も多くいます。これまでの生活の中では予想もしていなかった事態が突然起こり、収入を得られないことを現実として受け止められない人もいます。生活が困窮した場合にどうすればよいか、正しい知識も必要です。

コロナ禍で生活保護申請の件数が増加しています。生活保護は、国民の最後のセーフティーネットであり、健康で文化的な最低限度の生活が保障されます。この最低限度の生活の基準は2013年に引下げられましたが、この引下げが不当な根拠に基づくものであり違憲・違法だとして、埼玉も含め全国29の裁判所で約1000人の原告が闘っています。

長く続いている裁判ですが、6月25日に名古屋地方裁判所で出た初めての判決は、原告の請求をすべて棄却するというものでした。裁判所は、基準改定に当たって考慮すべきと法律で定められている事項についても考慮する必要がないと判断したり、専門家の検討を無視してもかまわないと述べたりするなど、極めて不当な判決でした。
名古屋での控訴審、全国の地方裁判所の闘いは続きます。

弁護士 古城 英俊

 

(事務所ニュース・2020夏号掲載)