選挙供託金違憲訴訟5・24判決(弁護士 鴨田 譲)

去る5月24日、東京地方裁判所にて3年間にわたり行ってきた選挙供託金違憲訴訟の第一審判決が言い渡されました。結論は、こちら側の主張を一切認めない請求棄却判決でした。

現在の選挙制度では、国会議員選挙に立候補する場合、1人につき、選挙区では300万円、比例区では600万円の供託金を納付しなければならず、一定の得票を得られないとこの供託金が没収されることになっています。この訴訟は、選挙区300万円の供託金制度について、憲法が保障する立候補の自由を侵害するもので、憲法違反であることを訴えたものでした。

今回の判決は、「現行の選挙供託金制度は選挙に立候補しようとする者に無視できない萎縮的効果をもたらすもの」であり「立候補の自由に対する事実上の制約になっている」と述べるものの、「選挙制度の仕組みの具体的決定については、原則として国会の裁量に委ねている」、「国会の裁量権に対して十分に配慮することが必要となる」と、国会の立法裁量を広範に認め、供託金制度は憲法違反ではないと結論付けました。この判決は、300万円という供託金額について高いのか、高くないのか、供託金に代えて推薦署名という方法が適当かどうかといった実質的な判断を一切避けた不当判決と言わざるを得ません。この判決に対し、弁護団は先日控訴をしましたので、控訴審では逆転できるよう努力していきたいと思います。

弁護士 鴨田 譲

 

(事務所ニュース・2019年夏号掲載)