夜間中学の灯

夜間中学。

今まであまり認識していなかったこの教育の場を教えてくれたのが、文科省前事務次官の前川喜平さんの講演です。

「教育機会確保法」によって、不登校などで形だけの卒業をした「形式的卒業者」も夜間中学に入学できることになり、各県でも夜間中学創設の機運がたかまりはじめたようです。

埼玉県には公立夜間中学はありません。この春、川口市が公立夜間中学の設立を具体化し始めました。それは30年にわたり自主夜間中学の活動などボランティアで支えてきた地域の方々や学びたいと思いをもった人たちの、粘り強い息の長い運動の結果だと思います。

講演の中で、前川さんが紹介してくれた「セーラー服の歌人 鳥居」という本を読みました。まともに教育を受ける機会を失った鳥居は複雑な障害を抱えて生きる意味がみいだせない絶望の中で短歌と出会い、「生きづらかったら短歌をよもう」と呼びかけます。この本を読んだだけでも、学び直しの機会を得るために夜間中学を必要とする人たちが大勢いることがわかってきます。

夜間中学は、いろんな経験をしてきた、年齢も国籍も違う人たちが義務教育を受けたくて、勉強をしたくて入学してくるところ。その窓からこぼれる灯りは、ひとりひとりの希望の灯のように思えるのです。

事務局 松田