アスベスト被害の救済に向けて(弁護士 竹内 和正)

弁護士 竹内 和正

2014年の10月9日15時、最高裁判所は、大阪泉南地域のアスベスト被害について、国の責任を認める原告勝訴の判決を言い渡しました。

この判決は、アスベスト被害について国の責任を認めた初めての最高裁判決です。
司法の頂点にある最高裁が、経済活動よりも労働者の健康が優先されることを確認し、国の責任を明確に認めた点で極めて大きな意義があります。
そして、この最高裁判決をうけ、厚生労働大臣は、被害者と面会し謝罪をした上で、この大阪泉南地域以外のアスベスト被害者に対しても、この判決の基準(別表)に照らして和解をしていくことを明言しました。
アスベスト被害の撲滅と被害者の救済にとって非常に大きな一歩です。

とにかく、アスベスト被害は甚大かつ壮絶です。
疾患を完治させるような治療方法はなく、止まることなく咳、痰が出続け、呼吸が困難になり、一日中、鼻にチューブをさして酸素吸入を要するようになります。
そして、家族に「生き地獄だ。」と告げて亡くなっていきます。

僕は、現在、埼玉弁護士会のアスベスト被害救済に取り組む弁護士で結成した埼玉アスベスト弁護団の事務局長を務め、気がつけば、現在、さいたま地裁で起こされている複数のアスベスト訴訟の事務局長も務めています。

あまりの大変さに、なんでこんなことになってしまったのだろう、などと思うこともありますが、僕の依頼者にもアスベストで亡くなってしまった方々がいます。
被害救済のために今後も全力で取り組んでいく覚悟です。

今後、間違いなく、アスベストの被害は増え続けます(アスベスト被害は吸ってしまってから20年以上経過して突然発生します)。
あまり権利だ義務だいうのは好きでありませんし、ぜひ僕のところにご相談ください、などと依頼を呼び込むこともしたくないのですが(大変ですし・・・)、アスベスト被害だけは別です。アスベスト被害に遭ってしまった方、疑いを持っている方はぜひ、アスベストを取り扱っている弁護士のところにご相談ください。
これはお金の話ではなく、命の話です。

20150220.emf