埼玉総合法律事務所

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コラム-鴨田譲弁護士

ブラックバイト問題を高校生に伝える(弁護士 鴨田 譲)

弁護士 鴨田 譲

前回の事務所ニュースに続き、高校生への講演の話です。
いま社会問題となっている「ブラック企業・ブラックバイト」について高校3年生の学年集会で話をしてもらいたいという依頼を頂いたので、講演をしてきました。

「話が長い、難しい、眠い」などの以前の高校生からの指摘を踏まえて、今回は「ブラック企業・ブラックバイト○×クイズ」を作り、最初にクイズ11問について生徒全員に○か×か手をあげてもらう形式にしました。

クイズの内容は、会社やバイトを辞めるのは自由であること、バイトであっても有給休暇の申請ができること、最低賃金より低い時給は認められないこと、サービス残業は全て違法であること、働き始める際には労働条件を記載した書類が発行されなければならないことなどです。

そして、このクイズの最大のポイントは11問全て正解が○という点です。
問題が11問あれば、全て○や全て×といった偏った答えにはならないだろうと考えるのが普通でしょうし、生徒のみなさんもそのように考えていた方が多いようでした。

しかし、「これまでの学生生活と違い、社会に出るとこういう意地悪をする人もいる」ということを生徒のみなさんに伝えたかったというのがこのクイズのオチです。

奨学金問題と高校生と私(弁護士 鴨田 譲)

弁護士 鴨田 譲

これまでも奨学金問題についての講演に呼んで頂ける機会が度々ありましたが、最近、給付型奨学金や新たな返済制度である所得連動返還型奨学金の創設など奨学金に関し様々な動きがあり、以前にも増して講演の依頼を頂くことが多くなっている気がします。

これまでは、高校の先生方や保護者の方々にお話する機会が多かったのですが、最近は高校生のみなさんにお話する機会も増えてきました。
先日も高校生の学年集会で奨学金問題についてお話させて頂きました。講演終了後、講演を聞いた生徒たちに対して私の講演に関するアンケートを実施したようなのですが、その際、高校の先生が「アンケートは正直に書いて下さい。」と生徒に伝えたところ次のように本当に正直な意見が返ってきました。

【生徒の意見(一部抜粋)】

話が長い/配布資料が文字ばかりで分かりにくい/話が難しいので具体例を使って説明して欲しい/映像を使って欲しい/もっと簡潔に説明して欲しい/話が長すぎる/眠かった

大人の世界ではなかなか味わえない本当に「正直な意見」が届き、若干たじろぎましたが、自分の講演にまだまだ工夫の余地があることも分かり貴重な経験になりました。
この経験を次回以降に活かしていこうと思います。

ついに給付型奨学金、創設へ!(弁護士 鴨田 譲)

弁護士 鴨田 譲

早いもので私が奨学金の問題に取り組み始めてから4年になろうとしています。
OECD加盟国35カ国中、大学の学費が有償(しかも異常に高額)、かつ、給付型奨学金が存在しない国は日本のみという状態でしたので、これまで「学費は無償に!奨学金は給付に!」をスローガンとして活動を続けてきました。

そうしたところ、昨年10月、自民党が給付型奨学金を創設する方針を打ち出しました。
その内容は、①生活保護世帯か住民税非課税世帯の生徒であり、②高校での成績が5段階評定で平均4.0以上の生徒に、③月3万円を給付するというものです。

いかがでしょうか?
これまで長年に渡り日本に給付型奨学金が存在しなかったことを考えれば大きな前進とも言えますが、月3万円では1年間給付を受けても国立大学の学費にもならないのではないか、給付を受けられる対象世帯がかなり限定されてしまっているのではないかという疑問があります。
そして、何より成績平均4.0というのはかなり難易度が高いのではないでしょうか。

今後は、この給付型奨学金の対象と金額を拡大させるようなキャンペーンを展開していくことになりそうです。

世界一高い供託金制度を廃止に!(弁護士 鴨田 譲)

弁護士 鴨田 譲

現在の我が国では、国政選挙に立候補する場合、衆議院・参議院いずれも選挙区で300万円、比例区で600万円という高額の供託金を納めなければならず、しかも、得票数が一定以下の場合には没収されてしまいます。

このような制度を私たちは当然のものとして考えているかもしれませんが、諸外国の制度を見てみると、アメリカ、ドイツ、フランス、ロシアなどの国々はそもそも供託金制度が存在せず、イギリスは約8万円、カナダは約10万円であり、日本の300万円、600万円という金額は世界一高いといえます。
韓国は約135万円とかなり高額ですがそれでも日本の半額以下です。

憲法44条は、国会議員の資格について財産又は収入によって差別してはならないと定めていますが、現在の供託金制度はこの規定に反する憲法違反のものだとして、この度「選挙供託金制度違憲訴訟弁護団」を結成しました。

そして、今年5月、国を被告として東京地方裁判所に提訴し、記者会見を行いました。
弁護団の団長は宇都宮健児弁護士で、私は事務局長になりました。

現在の政治が既存大政党だけのものになってしまっており、市民の政治参加が困難となっている大きな一因がこの選挙供託金制度だと思います。
選挙を市民の手に取り戻すためのこの活動を是非ご支援下さい!

住宅扶助費も減額に・・(弁護士 鴨田 譲)

弁護士 鴨田 譲

2013年から生活保護費のうちの生活扶助費が引き下げられ、現在さいたま地裁を含む全国各地の裁判所でその引下げの違憲性が争われています。

そして、昨年7月、今度は家賃に相当する住宅扶助費が引き下げられました。
引下げの金額は地域によって異なりますが、埼玉県は全国でも引下げ額が特に大きく、2人世帯で言えば、さいたま市で月8000円、越谷市、熊谷市などでは月10000円も下がりました。

しかし、国が示した今回の引下げの根拠は納得できるものではありません。
「もっと苦しい生活をしている人がいる」と低い方に合わせていけば、健康で文化的な最低限度の生活の水準は際限なく下がってしまいます。
十分な根拠のない引下げには強く反対していきたいと思います。

埼玉奨学金ネットの取組み(弁護士 鴨田 譲)

弁護士 鴨田 譲

私が事務局を担当している「埼玉奨学金問題ネットワーク」ですが、早いもので設立から1年あまりが経過しました。

この1年間の取組みは主に次の3つです。

①奨学金無料電話相談-弁護士・司法書士による奨学金の返済に関する無料の電話相談を実施し、1年間で18件の相談を受けました。
「低収入のため奨学金の返済ができない」という相談が最も多く、現在の雇用情勢の劣化を改めて実感しました。

②高校教職員への研修会-高校の教職員の方々を対象に講演を実施してきました。
「これまで自分が生徒に勧めてきた支援機構の奨学金が将来逆に生徒たちの足かせになっていると知り複雑な気持ちになった」など高校の先生方からは驚きと戸惑いの声があがりました。

③議員への説明会-議員の方々にも奨学金問題の説明会を実施してきました。
特に、桶川市議会では、2014年6月に「奨学金制度(支援機構)の改善を求める意見書」を採択して頂きました。

このように少しずつではありますが、埼玉奨学金ネットの活動の広がりを感じています。

今後もご支援を宜しくお願いします。

埼玉奨学金問題ネットワークを設立しました(弁護士 鴨田 譲)

弁護士 鴨田 譲

大学の学費が高騰する一方、家計の収入は減少し、今や大学生のおよそ2人に1人が何らかの奨学金を利用するほど大学進学に果たす奨学金の役割は大きくなりました。
しかし、現在、就職難や低賃金・不安定雇用の拡大によって大学を卒業しても奨学金を返せない人が多く生まれる事態が発生しています。

他方、このような状況にもかかわらず、奨学金実施団体である日本学生支援機構は、2009年ころから、債権回収会社、ブラックリスト、支払督促、裁判等までも利用した徹底した回収強化策により返済ができない人に対する無理な取り立てを行うようになりました。

これらの事態に対応すべく、本年3月31日に「奨学金問題対策全国会議」が設立されましたが、私たちの暮らす埼玉県内を見てみると、県内の大学数は30校(全国8位)、県内の大学に通う学生数は約12万5000人(全国7位)(平成22年度調査)、埼玉から東京の大学に通う学生も相当数いることを考えると、埼玉県内においても奨学金の返済に苦しむ多くの方がいるものと考えました。

そこで、埼玉を中心とした弁護士、司法書士、研究者、教育関係者、当事者たる学生・生徒や保護者など、この問題に関心のある方の参加を広く求め、奨学金被害の救済・予防、奨学金制度の改善に向け、9月28日に「埼玉奨学金問題ネットワーク」を設立しました(代表=柴田武男聖学院大学教授、事務局長=鴨田、事務局=当事務所)。

始まったばかりの運動ですが、是非多くの方のご支援を頂ければと思っております。
宜しくお願いします。

日本の貧困―奨学金が進学を阻む(弁護士 鴨田 譲)

弁護士 鴨田 譲

ブラックリストに登録

学生時代に借りた奨学金の返済で苦しむ方が増えています。
その理由は、そもそも大学の入学金、授業料が高騰していること(特に国立大学の学費の値上がりが顕著で、2010年度の国立大学の入学料+年間授業料は約82万円になっています。)と、大学を卒業しても昨今の就職難により就職出来ないこと、就職できたとしても非正規労働者などにより低賃金であることが挙げられます。

さらに、この事態に拍車をかけているのは、奨学金の貸し手である日本学生支援機構が奨学金の回収を強化しているという事情もあります。
支援機構は、借り手が延滞を始めると、延滞3ヶ月でブラックリストに登録し、延滞4ヶ月で債権回収をサービサーに業務委託、延滞9ヶ月になるとほぼ自動的に裁判所に支払督促の申立を行うという強硬な方針をとっているようです。

世間では、「本当は返せるのに、返さないだけではないか?」との疑いの声も聞かれますが、延滞すれば年率10%の遅延損害金が発生し、ブラックリストにまで登録されるという奨学金制度のもとでは、返済しない場合のデメリットが非常に大きいため、あえて返済しない人が存在するとは考えられず、奨学金を返済していない人は返済できない人であるといえます。

また、「奨学金を返せないくらいなら、大学に行かずに働けばよい。」といった意見も聞きます。

しかし、新規高卒者に対する求人は、1992年には約168万件あったものが、2010年には約20万件と大幅に減少しており、現実的には高卒での就職が非常に厳しいものになっています。
ですから、大学進学の機会を奪われることは、就職の機会を奪うことにまでなってくるのです。
 

救済制度の充実を

奨学金は、本来、経済的に余裕のない家庭の子どもに対して、大学などへの進学を援助するために設けられている制度ですが、現在のこのような状況下で、「奨学金を返せないかもしれないので大学進学を諦める。」という方も現れ、奨学金の目的からして本末転倒な結果をもたらしつつあります。

家庭の経済力によって、子どもの進路選択が決定してしまうという不平等な状況になるのを避けるため、給付型奨学金の導入、奨学金返済困難者のための救済制度の充実を目指していきたいと思っています。

菊池恵楓園(弁護士 鴨田 譲)

弁護士 鴨田 譲

先日、熊本にある国立療養所菊池恵楓園という場所に訪れる機会がありました。
菊池恵楓園とはハンセン病患者の療養所です。
かつてハンセン病はらい病とも呼ばれ、四肢や顔面に様々な変形や機能障害をもたらすために人々から忌み嫌われた病気で、実際は極めて感染力が弱いにもかかわらず、誤った病気の認識から、らい予防法という法律によってハンセン病患者が強制的に隔離されてきましたが、その隔離施設が恵楓園なのです。
このハンセン病患者を隔離するための法律は明治40年にできたものですが、廃止されたのは約60年後の平成8年になります。
この2年後の平成10年、強制隔離された方達が原告となって提訴したものが熊本地裁で行われた「らい予防法違憲国家賠償請求訴訟」で、3年越しで原告勝訴に終わりました。
これにより、患者ら原告は、国からの謝罪、支援等を勝ち取りました。

しかし、この時既に患者の方々はかなりの高齢で、「この勝訴があと20年、30年早かったら・・」と漏らしたそうです。
さて、私は現在福島原発被害対策弁護団に所属し、福島原発事故によって避難を余儀なくされた方から東京電力に対する損害賠償請求の事件を数件担当しています。
避難者の方からは、「世間はもう避難者のことなど忘れているのではないか。」「元の家に帰れる日は来るのだろうか。」といった声も聞かれます。
被害者が受けた損害を適切に回復することは当然の役目ですが、避難生活という現在の非常に不安定な生活から一刻も早く解放し、「これがあと○年早かったら・・」という言葉の出ないように、いまできる最善のことをしていきたいと思います。