生活保護基準引下げの影響 (弁護士 古城 英俊)

今年10月から、また生活保護費のうちの生活扶助費が引き下げられる予定です。
食費、光熱水道費、被服費などを賄う生活扶助費は、2013年8月、2014年4月、2015年4月と三段階で平均6.5%、最大で10%引き下げられました。
もともと生活するのがやっとである基準がさらに引き下げられたため、この引下げは憲法25条に反するとして、全国29か所の裁判所で1000人以上が原告となって違憲訴訟が係属していますが、まだどこの裁判所でも判決が出ていません。
前回の引下げが違憲・違法なものであるかどうかについての司法判断が出ていないにもかかわらず、再び引き下げられようとしています。前回の引下げによって、食費をさらに削らなければならなくなり、1日2食にしたり、毎日同じ献立にせざるを得なかったり、交通費や交際費が出せなくなり、友人と疎遠になってしまったりした人もいます。
今年、さらに引き下げられると、もう削るところはないのに、どうすればよいのか、と生活保護の利用者は不安を抱えています。

生活扶助費を含む生活保護基準が引き下げられると、生活保護を利用している人たちへの影響はもちろんのこと、生活保護基準は、住民税の非課税基準、国民健康保険・介護保険などの各種社会保険制度の保険料や一部負担金の減免基準、就学援助など、国民生活の様々な施策に関連し、最低賃金の指標にもなっていますので、生活保護を利用していない人たちにも多大な影響を及ぼします。
社会保障の切り下げをすすめる国の政策に反対します。

 

弁護士 古城 英俊

 

 

 

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