働き方改革法案成立は、民主主義の危機 (弁護士 髙木 太郎)

働き方改革法案が6月29日成立した。
働き方改革と言いながら、そこに含まれている高度プロフェッショナル制度を見る限り、如何に残業代を払わずに済ませるか、という観点でしか作られていない。
法案に書かれているのは、年収1075万円程度に相当する収入のある人については、労働時間の規制(残業代・深夜労働を払えという部分)を適用除外する、ということだけである。

それなのに、総理大臣も、厚労大臣も、あたかも、働く人が自由に働き、成果に応じて収入が得られる制度であるかのような説明を行い、与党議員はこれに唯々諾々として矛盾も指摘しないし、大手マスコミもそこを厳しく指摘するに至っていない。
国会で、こんないい加減な議論しかされていない、つまり、民主主義社会、言論の自由がある社会であるにもかかわらず、国民にその点がろくに知らされないまま、多数の国民も積極的に知ろうとしないまま、法案が通ってしまっている、という点に、暗澹たる気持ちになる。
ある意味、民主主義の重大な危機なのだろう。

権利は勝ち取るために常に闘争しなければならないと、高校生の頃、習ったような気がするが、それを実践しないと、ナチスに蹂躙されたドイツのように、軍部独走を許した過去の日本のようになるのではないだろうか。
特効薬はないのだろうが、急がば回れ、で、中学、高校の教育あたりから一歩一歩改善を積み重ねないといけないのかな、と思っているこの頃である。

弁護士 髙木 太郎

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