「万引き家族」(弁護士 梶山敏雄)

 裁判所での仕事の合間で少し待ち時間があり、久しぶりに映画館に入り「万引き家族」を観ました。高齢者割引もあり、椅子も昔と違って快適な座り心地です。映画は貧困・万引・虐待・年金詐欺・・労災・リストラなど決して軽くない内容ですが、淡々と日本の厳然たる現状が描かれています。
 カンヌ国際映画祭最高賞の受賞に林文科相は「是枝監督を招いて祝意を伝えたい」という考えを示しましたが、是枝監督は「公権力とは潔く距離を保つ」として辞退し、インタビューでは「同じ政権がずっと執権することによって私たちは多くの希望を失っている」とも語っています。普通なら日本人が国際的な賞を受賞したら必ず我がことのように賛辞を送るはずの安倍首相は一切無視。
 格好いい潔い是枝監督の姿勢に拍手です。
 「政府は貧困層を助ける代わりに失敗者として烙印を押し、貧困を個人の責任として処理している。映画の中の家族がその代表的な例だ」というコメントをどこかで目にしました。
 今度は、嘘をつき、はぐらかし、時間稼ぎをして国民を誤魔化し、逃げ切ろうとしている醜悪な権力者を題材に、スカッとする映画を作ってくれませんかね、是枝さん。
 いずれしても、一家の「母」を偽装していた信代役・安藤サクラの演技には凄い迫力がありました。

(関連記事)
フランス紙が指摘…安倍首相が是枝監督受賞をスルーの理由(2018/06/03日刊ゲンダイ)
カンヌ映画祭最高賞の是枝監督、安倍首相の祝意を辞退(2018年06月11日中央日報)
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 映画「万引き家族」公式サイト

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