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労働者の選別は許されるか(弁護士 德永 美之理)

労働者の選別は許されるか(弁護士 德永 美之理)

労働契約法18条の定める無期転換ルールが2018年以降本格的に始まりますが、それを前にして雇止めも多発しています。

無期転換ルールとは、通算5年を超えて有期労働契約が更新された場合に、労働者の申し込みにより次回以降の労働契約が無期契約に転換するというものです。このルールは、非正規労働者の雇用の安定化を目的とするものです。

ところが、①雇用期間が5年超になる前に契約を終了させてしまう、②雇用期間が5年超になる前に不更新とする合意書を締結させるなどの措置を講じて、無期転換ルールの適用を回避しようとする使用者も存在し、問題となっています。

こうした状況の下、住宅設備機器の製造販売等を目的とする大企業が、定められた期限内に昇級できなかった有期労働者を雇止めする制度を2014年度から開始しました。その結果、期限内に昇級できなかったことを理由に、同企業に8年以上勤務していた有期労働者が、2018年に労働契約法による無期転換権が発生するのを前にして2016年に雇い止めになりました。これに対し、私ども弁護団は、当該企業を相手に地位確認等を求めて提訴し、現在も係争中です。

争点は他にもありますが、労働契約法の定める要件(通算勤務期間が5年を超えること)に、昇級試験の合格という独自の要件を加重して、昇級試験に合格した有期労働者のみを無期転換させる「条件付」無期契約制度を利用して、無期化する労働者を使用者が事実上選別することを法が許容しているか、が重要な争点です。

労働者が安心して、生きがいをもって働くことができるように、法の趣旨を潜脱するようなやり方は許されるべきではありません。無期転換ルールは、潜脱を許さず、適正に運用されるべきです。

弁護士 德永 美之理

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