ちゃんと走れメロス(弁護士 竹内 和正)

弁護士 竹内 和正

竹内も激怒していた。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意したわけではない。
ただ、もう絶対来年はマラソンを走らないぞと決意していた。健康のためにはじめたマラソンだ。
でも、走るたびに思う。フルマラソンは不健康だ。(「走れメロス」より準用)

激怒していたとき、僕はだいたい、35キロ地点にいました。
それまで淡々と走り続けていましたが「なんだか、疲れちゃったし、もう歩いちゃおうかな。別に、ゴールに、セリヌンティウスが待っているわけでもないし。」と思っていました。

しかし、昨年は仕事が忙しく、なかなか時間が取れないながらも練習は続けていたので、
不完全燃焼で終わらせてしまうのは嫌だなと思いました。
そこで、「せめて、目標タイムを切ってゴールしよう。そして、目標を達成できたら、笑顔でマラソンも終わりにしよう。」と考えました。
わずか2年間のマラソン人生に終止符を打つべく、そこから、僕は、道行く人を押しのけ、はねとばし、黒い風のように、犬を蹴とばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走りました(準用)。

そして、結果、ネットタイム(自分がスタートラインを越えてからゴールするまでの記録)では目標を達成し、
公式記録(号砲がなってからゴールするまでの記録)では、目標を達成できませんでした。
・・・これは、どうしたらよいでしょう。マラソンを辞めてもよいものか。
メロスがゴールしたのも、あの感じだと、公式記録ではなく、ネット記録という理解でよいでしょうか。

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