先輩たちの姿を見ながら(弁護士 伊須 慎一郎)

弁護士 伊須 慎一郎

 昨年6月から、いわゆる戦争法が憲法9条に違反するという国家賠償請求訴訟の代理人をしています。原告は500人を超えています。法律を作ったこと自体を憲法違反だと争う訴訟で、なかなか難しい裁判です。

 その中でも20代の若い弁護士から80代の大先輩弁護士が、違憲判断を求め、時には熱く(いつも熱いかもしれません)議論を重ねています。

 鈴木経夫先生(元裁判官)は、数年前の新年会で何としても憲法9条を守りたいと仰っていましたが、83歳になられても、弁護団会議に参加されています。丸子警報機事件で賃金格差を是正する画期的な判断をされた北澤貞男先生(元裁判官)は、たった1人でも原告の皆さんの訴えを丁寧に聴き取って、裁判所に伝え続けています。私の妻がロースクールでお世話になった石塚章夫先生(元裁判官)は、権力を憲法で縛るという立憲主義が蔑ろにされていることに対し、裁判で争えないかと新たな問題提起をされています。佐々木新一先生は時々体調が芳しくなさそうなのですが、私が頼りないので毎回の会議に参加され、訴訟進行の舵取りをされます。中山福二先生も体調が優れませんが、私を見るたびに、会議に参加できないことに申し分けなさそうです。

 大先輩が裁判を通じて何とか憲法9条を守ろうとする姿を見て、私も微力ながら、この裁判に力を注いでいます。微力であっても諦めない取り組みこそが憲法9条を守ってきたと信じて。

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