長時間労働と交通事故

 

最近受任した交通事故に、道路の左端路側帯を歩いていたのに、居眠り運転の車にはねられて何メートルも飛ばされたという事件がある。幸い被害者の命に別条はなかったが、一歩間違えばという事故である。時間は朝、加害者(相手方)は夜勤明けの看護師であった。

他方、過労死の集会で、夜勤続きの若者が帰宅途中に疲労で居眠りし原付自転車の事故を起こして亡くなったという話を聞いた。JRでは、線路の保線工事に従事していた孫請け会社の60代の労働者が夜勤続きの帰り道、居眠り運転で事故を起こし、同乗者4人中3人が亡くなる、という事故が報告されている。

日本の長時間労働は異常な事態。それなのに、働き方改革関連法案には、長時間労働を野放しにする高度プロフェッショナル制度や裁量労働制の拡大が盛り込まれている。また、長時間労働是正策も、一般の労働者にも年間960時間の時間外労働を許容する内容に過ぎない。改悪を防ぎ、もっと抜本的な長時間労働の是正を実現しなければならない。

弁護士 高木 太郎

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