ブレックファースト・イン・アメリカ

立冬を過ぎて日に日に寒くなっていく今日この頃ですがいかがお過ごしでしょうか。

ところで冬の季節にふさわしい小説にアメリカの作家スタインベックの「朝めし」があります。
これは高校生の時に現代国語の教科書に掲載されていた3ページ位の短編小説で、発表されたのは今から約80年前の1936年だそうです。

外国の小説は人名や地名を覚えるのが苦手なせいか今ひとつなじめないものが多いのですが、この小説だけは高校を卒業してから相当の年月が経過した今もなお強く心に残っています。
白々と夜が明けかかる真冬の朝、アメリカの荒涼とした大地にテントを張り、日銭を稼ぎながら暮らしているらしい貧しい綿摘み労働者の一家と主人公が何かの拍子に出会って束の間の朝食を共にし、別れるという実に淡々としたストーリーですが、凍てつく寒さの中、暖を取りながら熱いコーヒーをすすり、カリカリに焼いたベーコンと、その肉汁をつけたこんがりパンを口いっぱいに頬張るという描写がリアルで、食欲旺盛だった高校生の想像力を掻き立て、腹の虫を鳴らすのに充分過ぎるものでした。
朝食を終えた後、主人公はこの一家と別れてまたどこかへと旅立ち、労働者一家もまた幾ばくかのお金を稼ぐために放浪の旅を続けます。

この小説は10分もあれば読み終えることができますので息抜きの時にでも是非読んでみて下さい。

ちなみに、標題はちょうどこの小説と出会った頃に大ヒットしていたスーパートランプという英国のロックバンドの曲名です。年がばれますね。

 

事務局 小林

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