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「働き方改革実行計画」を批判する(弁護士 髙木 太郎)

「働き方改革実行計画」を批判する(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

安倍首相は嘘つきである。つくづくそう感じる。TPPで「重要5品目は必ず守る」などと選挙演説していたときから胡散臭いと思っていたが、今から考えると、そんな嘘はまだ序の口であった(その程度の嘘なら従来の自民党政治家も言っていた。)。
しかし、安保法制で従来の憲法解釈を変え、共謀罪をテロ対策と言いくるめ、「私や妻が関与していたら総理はおろか、国会議員も辞める」と大見得を切った「もり・かけ」問題では、事実を隠して幕引きを図る、という態度を見るにつけ、この人の言うことは一切信用できない、と思う。

そんな訳で、安倍政権が推進する「働き方改革実行計画」(2017年3月28日)も信用してはいけない。「同一労働同一賃金」や「長時間労働の是正」など耳障りのいいことを羅列するが、実際にそれを実現する項目は、看板倒れで、実効性に乏しいものが多い。
例えば、長時間労働の是正は、青天井の長時間労働に上限を設けるとしているが、現在厚生労働省が定めている「時間外労働の限度に関する基準」の月45時間、年間360時間を大きく後退させる、月100時間(未満)、年間960時間をその上限にしようとしているのである。基準に従っているレベルの企業にとっては、むしろ長時間労働推進になる可能性すらある。
これに加えて裁量労働制の拡大(営業職や課長クラスの管理職に残業代を払わなくていい制度)、高度プロフェッショナル制度(=ホワイトカラーエグゼンプション、ホワイトカラーの一定年収以上の人の残業規制を外す制度)といった、「残業させ放題」制度の導入が予定されているのである。これまた「嘘つき」と言うしかない。

安倍政権の下で、2016年8月「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」という懇談会が行われている。ここでは、最初に、徳島県上勝町の「葉っぱビジネス」の成功や1983年の米国のベンチャー企業の事例が取り上げられている。
そして、これらの事例を念頭において、2035年には、「個人が」「企業や経営者などとの対等な契約」によって、「自律的に活動できる社会に大きく変わっていることだろう。」と結ばれている。(安倍政権が言っていることを加味すると)個人と企業は対等だから、労働法の規制をどんどん外していこうという議論につなげる意図が見え見えである。

しかし、「葉っぱビジネス」の成功は、インターネットの活用(1)と葉っぱに着目した商売がたまたまあたったこと(2)による。また、米国のベンチャー企業の例は、インターネットの活用(1)と、類まれなる才能の集まりであった(3)からこそ実現した例だ。いずれも(2)と(3)がなければ「企業や経営者との対等な契約」は実現しない。そして通常、(2)や(3)はない。残るは(1)のみだ。いつでもどこでも働ける(働かされる)ということだけが残るに過ぎない。ここでも誤魔化している。

ああ、やっぱり安倍さんは嘘つきだ、総理が嘘つきの国が長続きするはずがない、早急に安倍さんにはご退場いただくしかない、と思うのである。

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