「やさしい」社会を

幼い頃の集団予防接種で、注射器の使い回しがされていたことにより、B型肝炎にり患してしまわれた方のご相談、事件をよく受けるようになった。
国から給付金が受けられる、ということだけではなく、その背景で、その被害にあった方がどんな苦労をされていたか、ということを知ることはとても大切だ。
無症候性キャリアという方は、現在何の症状もないので、普通の方と同じように生活をしておられるが、ある日突然症状が進む可能性を感じながら生きるのはとても重たいことだ。生命保険にも入れない(少なくとも肝臓系の病気の場合は生命保険がおりない)。

私の故郷は熊本、幼い頃、水俣病の報道に大きな衝撃を受けた。被害者でないとわからない苦しみ、差別。ようやく、国やチッソに対して訴訟を提起しても「金目当てだろう」という心ない誹謗中傷。
そんな心ない言葉をかける側、差別する側にならないためには、被害を知る、学ぶしかない。大気汚染しかり、じん肺訴訟しかり、過労死しかり、騒音公害訴訟しかり、残留孤児しかり、慰安婦しかり、沖縄しかり。

暴言で票を集める人がアメリカで大統領になってしまった。
日本では、石原さんや、橋下さんが、この部類ではなかったかと思う。
そんな「本音」はご免である。思いやりのある社会、人を大切にすることが尊ばれる社会を目指していきたいと思っている。

弁護士 高木 太郎

image_printこのページを印刷
シェアをお願いいたします。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次