自分の生き方を決められない社会の憲法の行方(弁護士 猪股 正)

弁護士 猪股 正

参議院選挙が終わりました。
改憲派が、憲法改正の発議に必要な参議院全体の3分の2の議席をとり、今後、憲法改正に向けた動きが確実に加速していくことになります。

昨年9月19日、安倍政権は憲法に背いて戦争法を成立させました。
選挙期間中、アベノミクスが大きな成果を上げ経済は確実に上向いているなどと喧伝されましたが、実際には、世帯所得は落ち込みを続け、中間層は減少し、貧困率は過去最悪です。
憲法に従わず、貧困と格差を拡大させている政権が、この国ではどうして存続するのだろうかと考えます。

国際調査によると、「自分の生き方を自分で決められていますか?」という質問に、「はい」と答える割合が、日本人は60か国中59番目でビリから2番目だそうです。
慶応義塾大学経済学部教授の井手英策さんは、著書「18歳からの格差論」の中で、こう言います。
「僕はこう思うんです。自分が自分の生き方を決められてはじめて、ほかの誰かが自由を持てないことへの怒りもこみあげてくるのではないか、と。」。
非正規雇用が4割、共働きでも世帯所得は減り、貯蓄もない世帯が増え、安心して子育てもできず、生きるのが精一杯。自分の生き方なんて決められない。
確かに、こんな社会に生きていれば、人の自由や平等どころではない、憲法を変えられることへの怒りも出てこないかもしれません。

自分の生き方を自分で決められない社会、そんな理不尽な社会を子どもたちに遺せません。
誰もが自分の生き方を自分で決められる、公正な社会を実現するために、あきらめず、力を合わせましょう。
そして、自由と民主主義、平和を守りましょう。

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