当事務所開設の頃からお世話になっている第一経営相談所という会計事務や社会保険労務士事務を営んでいる会社があります。
大宮に本部があり、全県に事務所があります。総員約100名と聞いています。
私は監査役を仰せつかっているのですが、4月1日の入社式で約1時間の「講話」をさせていただきました。
題して「第一経営と所員に期待すること」。ゲストによる講話は、毎年恒例だそうです。
「講話」と言われ、いやいや本当に苦労しました。
簡単にお引き受けしてしまったことをずっと後悔しておりました。いったい何をお話しできるのか・・・・。私の人生なんて、おそらく30分もあれば語り尽くせてしまいます。
正直、相当、悩みました。
結局、がっつり原稿を作って臨みましたが、準備したことの半分もお話しできませんでした。
お話ししたコンセプトは、私たちの仕事を取り巻く市民の皆さんは、昔と違って「選択」を始めている、ということ。
私たちは、市民の皆さんのために役立つ仕事をしたい、と考えていますが、そのためには私たちが市民の選択に耐えられるような仕事をしなければならない、ということ、それこそが生きがいにもなるということ、そんなことを頭に置きながらお話ししました。
主に弁護士の業界のことを中心にお話ししましたが、世の中はどんどんそのように変わっていると思います。
では、選択に耐えられるようになるためにはどうしたらよいか・・・
テレビ宣伝を豊富に打つ、という方向に走る弁護士たちも数多くいますが、たぶん市民の要望にはそういうところにはなない。依頼者の言い尽くせなかったことに気づいて差し上げることができること。そのために必要な資質は・・・・「謙虚」ということ。
「謙虚」などというとずいぶん陳腐でつまらないのですが、道徳として言うわけではなく、本当に大切な真実を発見するためには、自分の能力や経験なんてたいしたことない、と思うことから始めないといけなということです。そのためには専門技術を高めるのと同時に社会の動きについても関心を持ち続けること。「困ったら依頼者に聞け」これは、私が新人の頃に先輩から聞いた言葉ですが、そんなお話をしました。
新人の皆さんは、真剣なまなざしで聞いてくれました(笑う箇所は少なかったのに)。
このように他の職種の人間を招いていただき、入社1日目の貴重な時間を講話に割く第一経営相談所の真摯さには心おりの敬意を表したいと思います。
たいしておもしろくもない話を聞いてくださった新入社員の皆さん、これから長いお付き合いをしましょう。
改めて心よりお祝いしたいと思います。
弁護士 牧野 丘