トリクルダウン(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

昨年の流行語大賞候補に、「トリクルダウン」という言葉がノミネートされました。
富裕層・大企業を儲けさせれば、やがてそのお零れがしたたり落ちて、日本全国豊かになるという考え方で、安倍首相の経済政策アベノミクスの基本はこの考え方です。
消費税増税で庶民から金を吸い上げ、法人税減税(恩恵を受けるのは大企業など利益を上げている企業のみ)で強者をさらに富ませるのもこれです。

アベノミクスは、労働分野では単なる規制破壊です。
労働者の命と健康と生活を守る規制を破壊すれば、企業が労働者を使いやすくなる、世界一活動しやすくなるとして、あらゆる労働分野での規制破壊が進められようとしました。

手始めにやられたのが、有期雇用の5年間での無期雇用への転換ルールを「専門的労働者等」には10年にする有期雇用特措法案、派遣期間の実質的な無期化を企てる労働者派遣法改悪案でした。
国会は自公が圧倒的多数ですから、早期成立すると思いました。

それでも、労働弁護団は、アベノミクスの破綻は近い将来必ず訪れるから、それまで頑張れば、改悪を阻止できるとして、全国に大運動を呼びかけました。
野党(民主、共産、社民)は一致して両法案に反対、労働組合もあらゆる組織が反対しました。
そして、2014年中の国会では派遣法改悪案は成立を阻止することができました。

さて、実際には、富裕層は利益を貯め込み、庶民の懐は温かくなりませんでした。アベノミクスの破綻は、2015年には誰の目にも明らかになるはずです。
安倍政権は、その前に、総選挙に打って出ました。結果は・・・。

労働弁護団幹事長職を今年11月の総会まで務めさせていただきます。
労働者の権利実現のために、昨年に引き続き、頑張ります。

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