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訪中のご報告

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私は、旧日本軍遺棄毒ガス被害救済弁護団に所属していますが、私を含む弁護団員5名は、その関係で先週の金曜日(10/24)から本日(10/29)まで、全日本民医連の医師団の方々(医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等々)とともに、中国黒竜江省のハルピン市とチチハル市へ行っていました。

 

医師団の目的は、被害者の方々を対象にした集団検診(6回目)を行うことです。

弁護団の主目的は、毒ガス問題についてのシンポジウムを開催し、その後、中国人権発展基金会との間で被害者支援のための基金の設立合意を結ぶことでした。

多少の混乱はあったものの、両者とも無事に目的を達成することができました。

 

人手不足もあり、医師団の検診作業を手伝い、他方で、弁護団として聴取り調査を行い、被害者の方々からお話を伺ったのですが、そこで皆が口を揃えて言うのは、生活の困窮と先の見えない将来への不安でした。

 

何の罪もない人が何故このような被害に遭い、こんなにも苦しまなければならないのだろうか、と改めて戦争という行為、旧日本軍の遺棄行為の卑劣さに強い憤りを覚えるとともに、自分1人ではこの人たちを救うことが出来ないという無力感にうちひしがれました。

 

被害者支援制度の確立に向けて、できることを一つずつ着実にしていきたいと思います。

 

〈遺棄毒ガス問題とは〉

毒ガス兵器は、1907年のハーグ陸戦条約において、その残虐性・非人道性から、戦争での使用が禁止されていました。その毒ガス兵器を旧日本軍は、敗戦の際、中国国内で地下や水中に大量に遺棄しています。その量は、中国側推定で200万発、日本側推定でも70万発です。

その毒ガス兵器を偶然に掘り起こし、引き上げて、毒ガスを浴びてしまった方々が、現在、大きな健康被害に苦しんでいます。毒ガスが奪うものは、被害者の健康だけではありません。その財産や人とのつながりをじわりじわりと蝕んでいきます。

人生をめちゃくちゃにされた被害者の方の一部は、日本国に対して、賠償を求める裁判を起こしていますが、日本国は、事故発生の予見することができなかったなどと主張し、責任を否定しています(なお、旧日本軍が毒ガス兵器を遺棄したこと自体は裁判では認められています)。

しかし、建設ラッシュの中国国内で、毒ガス被害者は、今後もさらに増えることが予想される中、果たして、日本は、被害者に対し、本当に何もしなくてよいのでしょうか?

「そんな昔の奴がやったことなんか、俺には関係ないよ」というのは簡単です。しかし、この問題は、決して、昔の過ぎ去った問題ではなく、今現在の問題です。

国民一人ひとりが考えなければならない問題だと、私は思います。

 

 

 

弁護士 黒澤 瑞希

 

 

 

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http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2014-10/27/content_33883120.htm

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