雇用破壊の強行(弁護士 猪股 正)

弁護士 猪股 正
 
12月13日、日弁連主催で「労働法制の規制緩和と貧困問題を考える市民大集会」が開催された。
寒空の中、日比谷野外音楽堂に2000人を超える市民が集まった。
連合、全労連、全労協などの労働組合が、労働運動の潮流を越えて幅広く結集するというかつてない集会となった。

政府は、成長戦略の名の下に、大がかりな規制緩和を進めようとしており、労働法制はかつてないほどの重大な危機を迎えている。
金さえ払えば自由に解雇ができる解雇の金銭解決制度、解雇をしやすくするための限定正社員制度、労働時間と休日の規制をはずし使用者は残業させ放題で割増賃金も払わなくてよいというホワイトカラー・エグゼンプション、派遣を臨時的・一時的業務に限定するという原則を大転換し、あらゆる業務において派遣を永続的に使用できる方向での派遣法の大改悪。
このような規制緩和が強行されれば、派遣を始めとする非正規雇用が一層増加して正社員は減少する。
不安定・低賃金労働がさらに拡大し、貧困と格差が一層深刻化することは明らかだ。

今回の集会の司会として日比谷野音の壇上に立ち、登壇者の発言を聞きながら、そびえ立つ官庁を見上げ、5年前の記憶が駆け巡った。
日比谷の年越し派遣村、仕事と住まいを失ったたくさんの人たち、公園の中に張られたテント、相談のテントに泊まりこんだ日々、開放された厚生労働省の講堂に入っていく人たち、視察に来て「派遣法抜本改正」を口々に訴えた政治家たち。

「成長」とは誰のためのものか。
私たちは学んだはずだ。
市民の力で、政治の横暴、強行を食い止めたい。

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