世界共通の働くルールづくりを(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

自民党安倍政権になってから、「解雇法制を緩和せよ」という議論がかまびすしい。
ジョブ型正社員、ホワイトカラーエグゼンプションなどである。
ジョブ型正社員とは、職種や勤務地を限定し、労働時間規制も(厳格に)する正社員のこと。こういう類型を作れば、これとは区別された従来型の正社員は、職種も勤務地も残業も限定がなくなってしまう。
ホワイトカラーエグゼンプションは、要するにホワイトカラーには残業代は払わないという話である。従前、残業代不払い法案として批判を浴びた話の焼き直しである。

働く人にしわ寄せが

さらに、派遣法の規制緩和も話題に上っている。
派遣業界から自民党への強力な働きかけがあるようで、ほんの1年前に僅かな規制強化が行われ、派遣法違反の場合に派遣先に直接雇用の申込をみなす条項(見なし条項)についてはまだ施行さえされていない(改正法成立後3年間の猶予期間=平成27年10月1日施行)のに、この「みなし条項」さえ廃止の対象になっているのである。

阿倍首相は、日本を世界で一番(大)企業の活動しやすい国にする、というが、世界中で企業誘致合戦を展開したら、国際的な大企業はいいだろうが、その分世界中の働く人々にしわ寄せがいくだけである。
国内での企業誘致合戦でせっかく誘致した企業に逃げられた例を見てもその行く末は明らかである。

世界中で共通した(働く)ルールの確立にこそ力をいれなければならないのである。

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