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弁護士 佐渡島 啓のコメントが朝日新聞 2013年3月19日 朝刊に掲載されました。

弁護士 佐渡島 啓のコメントが朝日新聞 2013年3月19日 朝刊に掲載されました。

職場の机 プライバシーは 

職場の机の引き出しを勝手に開けられ、不快だったー。1月11日付「働く」面の「職場のホンネ」で紹介した投稿に、たくさんの反響があった。その多くが「職場の机は会社のもの」という意見。職場でプライバシーはどこまで主張できるのか。

「開けられ不愉快」の投書 「筋違い」の反響多数

「経理の男性から『交通費を引き出しに入れた』と言われ、ぎょっとした。他人の引き出しを勝手に開けないのが、大人のマナーではないか。その下の引き出しには私物を入れていたので、非常に不愉快だった」(兵庫県30代女性)

反響を呼んだのは、こんな投稿だ。

この女性は広告会社の営業職。女性の同僚に相談すると、外出中に引き出しの中のペンを勝手に使われたり、ロッカーを勝手に開けられたりした人もいたという。「机は会社の物だが、私が使っている時点で個人のスペースでもあるはずだ。私物も入れているし、自分の使いやすいように整理してある。私的な領域に土足で踏み込まれた気がした」と話す。

掲載後、これまでに20通を超えるメールや投書が朝日新聞社に寄せられた。

大半が「筆者が怒るのは筋違い」という意見だ。

「机は会社の備品。開けられて当然」「私物はロッカーに入れるべきだ」「会社の机は会社のものと心得るのも大人のマナーだ」「私物を入れさせてもらってるという意識でいて下さい」などという。

投稿した女性と同じ意見の人は少数だった。千葉県の女性(36)は「うちは机どころかロッカーの中もチェックされる。おかしいと思うが、いくら不信感を抱いても、雇用されている側は会社の方針に従うしかない」とメールで送ってくれた。女性はこの会社に10年以上勤務しているが、不満が重なったため、転職を考えているという。

理由なければ侵害に

机の引き出しを勝手に開けられても、働く側は文句を言えないのか。

労働問題にくわしい佐渡島啓弁護士は「正当な理由なく勝手に開けられれば、プライバシー権の侵害を主張できる可能性がある」と指摘する。

佐渡島弁護士によると、私的な領域をみだりに公開されたり追及されたりしない「プライバシー権」は、職場でも一人ひとりに保障されている。職揚の机は会社の所有物だが、ふだん使っている人の私的な領域という側面もある。

このため、場合によってはプライバシー権を主張できる。「引き出しにカギをかけていれば、侵害の度合いがさらに強まる。相手に慰謝料を請求できることもある」という。

書類の出し入れなど、仕事上の用事で引き出しを開けられた場合は、職場のルールがどうなっているかが判断する材料になる。

引き出しを開けることが職場の習慣になっておらず、就業規則などにもそういった行為を認める規定がない場合、プライバシー権の侵害になる可能性があるという。

従業員がプライバシー権を主張できるのは、机の引き出しに限らない。

たとえば、机の上に飾った家族写真は、職場の同僚に見られても問題ない。しかし、机の上に置いていた日記を読まれた場合、表紙の柄や色で明らかに私用と分かる時は、抗議できる。

職場のパソコンから送ったメールを会社側にチェックされた場合は、調査目的や方法を確認するといい。業務上の必要がなかったり、本来監視すべき立場にない人がチェックしたりした時は、プライバシー権の侵害になることがある。

佐渡島弁護士は「私的な領域と感じる範囲は、ひとによって違う。トラブルを避けるためには、それぞれの従業員のプライバシーに十分配慮するべきだ」と指摘する。

(牧内昇平)

http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201303180566.html

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