Q&A 労働

  • Q1.
    大学在学中にある会社から内定をもらっていたにもかかわらず、卒業間近に内定を取り消されてしまいました。この会社に賠償を求めることは出来ますか。
  • bengoshi02A1.
    内定の取り消しが適法と認められるのは、採用内定時に会社が知ることが出来ずに後に明らかになった事情で、客観的に合理的と認められ、社会通念上相当とされる場合だけです。内定取消に正当な理由がない場合には、逸失利益や慰謝料の請求を会社に行うことが出来ます。


  • Q2.
    私の会社では、残業をしても残業代を払ってくれません。残業代を払ってもらうようにするためには、どこに相談をすればよいのですか。
  • bengoshi02A2.
    労働組合に相談をして集団的に解決をしたり、労働基準監督署に申告をするということも出来ますが、裁判所を利用することも一つです。残業時間に関する証拠をそろえて、弁護士にご相談ください。


  • Q3.
    会社から、課長への昇進を命じられました。しかし、私は介護が必要な家族を抱えているため、私はその昇進を断りました。すると会社は、懲戒解雇をちらつかせてきました。やはり昇進命令には応じないといけないのでしょうか。
  • bengoshi02A3.
    使用者は、労働契約に基づいて、人事異動を行う権限を有しているとされています。しかし、その権限の行使も、権利の濫用とされる場合には許されません。つまり、あなたを昇進させようとする会社側の事情と、あなたが家族を介護しなければならないという事情を比較考量して、権利の濫用とされるかどうかを判断することになります。詳細は弁護士に聞いてみて下さい。


  • Q4.
    家族の介護があるため、関東限定で採用された会社だったのですが、関東の事業所のほとんどが閉鎖されたため、通勤不能な九州への転勤を命じられました。やむなく退職したのですが、「一身上の都合」とする退職届を出したため、退職金が低く抑えられてしまいました。
  • bengoshi02A4.
    自己都合退職の場合には、会社都合退職の場合と比較して、退職金の支給額が低額の会社が多いのですが、実際にどちらの理由による退職なのかは、退職届記載の理由に止まらず、退職に至る具体的な事情を総合的に判断する必要があります。このケースでは、会社の都合により退職に至ったとして、会社都合退職による退職金を請求できる可能性があります。


  • Q5.
    職員のスケジュールを管理するための作業表を紛失してしまったことを理由に、役職を降格させられ、賃金も大幅に減額となってしまいました。会社は一方的に降格させたり、賃金の減額が出来るのでしょうか。
  • bengoshi02A5.
    会社は、人事上の措置として、役職の引き下げ等をすることができるとされていますが、人事権の濫用にあたる場合には降格は無効です。そして、賃金の減額については、この人事権の濫用にあたるか否かの一要素として検討されることになるのが一般的です。降格が妥当なものかどうかについては、弁護士にご相談ください。


  • Q6.
    親会社に勤めてきたのですが、この度、子会社に出向となりました。他の出向者は数年後には親会社に戻って来るのですが、私については、3年後には子会社に転籍になると予告されています。これは仕方ないことなのでしょうか。
  • bengoshi02A6.
    転籍については、労働者側の同意が不可欠です。そのため、会社が一方的に「転籍させる」と命じても、それは無効です。これとの関連で、このケースでは、そもそも出向自体が、権利の濫用として無効とされる可能性がありますので、弁護士にご相談ください。


  • Q7.
    勤務時間中に、会社のパソコンを使って、私用メールを送受信していたら、懲戒処分を受けてしまいました。しかし、これは会社によるプライバシー権の侵害ではないでしょうか。
  • bengoshi02A7.
    裁判例では、私的メールのプライバシー性を認めており、会社内の責任ある立場の人であっても、誰でも私的メールを監視することが出来るわけではないとされています。私的メールの使用頻度や、その記載内容、会社がメールを監視していた状況等、具体的な事情によっては、プライバシー権の侵害といえる場合もあるでしょう。


  • Q8.
    建設会社の現場監督として働いていたのですが、病気により、外で長時間勤務することが出来なくなったため、事務作業をする部署への配転を会社に求めました。しかし、会社はこれを認めてくれずに、解雇されてしまいました。この解雇は覆せないものでしょうか。
  • bengoshi02A8.
    傷病により、従前の職務に戻れない場合にも、職務限定のない労働者の場合には、会社としては、他の就労が可能な職務に配置転換する必要があります。そのような配置転換を検討することなく解雇されたということであれば、解雇無効を争う余地が十分にあるでしょう。詳しいことは弁護士に相談してみて下さい。


  • Q9.
    現在パートとしてある事務所で働いているのですが、パートには労災保険の適用はないと事務所の人に言われています。私が仕事で怪我などをしたら、どうなるのでしょうか。
  • bengoshi02A9.
    労働者であれば、皆さん労災保険の対象者です。これは、正社員であろうと、パートやアルバイトでも同じです。事務所の方に確認されるべきでしょう。


  • Q10.
    工場に勤めている私の主人が、作業中、手をはさまれるという事故に遭いました。事業主に労災保険の保険給付を受けられるように手続をして欲しいと頼んだのですが、夫にも不注意があった事故だから労災保険は支給されない、また、そもそもうちの会社は労災保険に加入していないし、保険料も支払っていないから手続をしても無駄だと言われました。本当に保険給付を受けられないのでしょうか。
  • bengoshi02A10.
    仕事中にけがをした場合、労災保険によって、治療費分の補償(療養補償給付)や会社を休んだ分の給料の補償(休業補償)、後遺障害が残ればその補償(障害補償)を受けることができます。
    事業主が労災保険の加入手続をしてなかったとのことですが、この場合であっても当然に保険給付を受けることができます。事業主が保険給付の請求手続にどうしても協力しようとしない時は、すぐに弁護士に相談してください。


  • Q11.
    会社との間のもめ事を短期間で解決できる「労働審判」という制度があると聞きました。具体的にはどのような制度なのですか?
  • bengoshi02A11.
    労働審判制度とは、労働者と会社との間に裁判所(裁判官と労働審判員)が入り、話し合いをしながら紛争の解決を試みる制度です。原則として、審理は3回まで(期間にして3~4ヵ月間)なので、訴訟による解決よりも短期間で結論が出るのが特長です。ただ、3回以内の審理で結論が出ない場合は、裁判所が審判(訴訟の判決に相当するもの)を出すことになり、それに対して一方当事者から異議が出たときには、紛争は訴訟の場に移行することになります。
    労働審判制度は、訴訟に比べて比較的利用しやすい制度ですが、上記のように、審判から訴訟に移行する可能性がありますので、弁護士に相談しながら手続を進めることをお勧めします。

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